この記事は2015年2月に掲載されたものです。
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「小劇場は、ジャンルとして認識すらされてない」「大阪って、なんか『巨大な授業参観』になりがちだよね。身内しか来ない」――関西の小劇場関係者14名を集めた「Lmaga.jp」の大型座談会が読み応えあり

カテゴリー: 備忘録 オン 2015年2月13日

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関西では話題になったと思いますが、「Lmaga.jp」が年末にアップした座談会記事が、あまり目にしたこのとのない規模のものでしたので、全国の方にも読んでいただきたいと思い、ご紹介します。「Lmaga.jp」は、2009年2月号で休刊した関西を代表する情報誌『Lマガジン』のWeb版です。

Lmaga.jp「関西の演劇界にモノ申す! 演劇ブームを関西から再び!」

関西の小劇場関係者14名を集めた3時間以上の座談会で、大阪を代表する宴会場「味園」で円卓を囲みながらの開催と、気合いが入っています。顔触れは主宰者、俳優、制作者、助成団体、マスコミと多彩で、世代も幅広いです。

話題は関西のカンパニーは本当に元気がないのかという疑問に始まり、14年8月から本拠地を大阪から東京に移した劇団子供鉅人を囲んでの東西比較、関西への思いと展開していきます。

益山貴司氏(劇団子供鉅人主宰)によると、関西では「小劇場は、ジャンルとして認識すらされてない」状況で、自身が経営するバー(公演会場にも使われた「カフェバーポコペン」、12年閉店)でお客さんに10年間尋ね続けたところ、98%が「え?関西に劇団があるの?」などの反応だったそうです。

吉永美和子氏(演劇ライター)の見解では、現在の関西のコアな小劇場ファンは100~200名、「それがグルグル回ってる」とのこと。だからといって東京の客層が広いわけではなく、東京もコアな観客は1,000名レベルで、公演が「大規模な授業参観」になっていると語っています。

「授業参観」という比喩は、中村悠介氏(大阪のカルチャーマガジン『IN/SECTS』編集者)が最初に発言したもので、身内客の多い公演を表現した言葉として印象に残りました。川下大洋氏(Piper)は、

今、関西って、劇団を生かしていくだけの“必要最低限の観客数”を、割り込んでしまってるんじゃないかなって恐さがあるよね。

と漏らしています。

作品のクオリティが下がったわけではないけれど、その魅力を外部に伝えることに熱意を見出せない――というのが、なにもかも多様化してしまった現代の姿のようです。私は、この状況こそ制作者の腕の見せどころではないかと思うのですが……。

それにしても、「演劇関係者が意見交換する場がない」という要望に応えて、こうした座談会をセッティングしてくれるLマガは太っ腹です。さすがだと思います。

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