この記事は2013年4月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

『SPT09』特集「本棚のなかの劇場──『劇的なる本』235冊」が予想以上におもしろい、個人的に早船聡氏のセレクションに心が揺さぶられる

カテゴリー: 備忘録 オン 2013年4月18日

Pocket

SPT 09 特集  本棚のなかの劇場---「劇的なる本」235冊

世田谷パブリックシアター『SPT09』特集「本棚のなかの劇場──『劇的なる本』235冊」、予想以上におもしろいです。

劇作家・演出家の創作の秘密に触れるものが何冊もあり、例えば前述の詩森ろば氏は、田宮俊作著『田宮模型の仕事』を好きなだけではなく、本当に舞台化しようとして打診したこともあるそうです。松本雄吉氏が維新派の戯曲でニコリ編『クロスワード辞典』を参考にしていることは公言されていますが、やはり真っ先に挙げています。

角川書店のネイチャーシリーズが好きな人は多いと思いますが、桑原裕子氏が『宙ノ名前』、明神慈氏が『空の名前』を挙げていて、イマジネーションを刺激しているようです。ご両人もこれを目にして、いまごろ微笑んでいるかも知れません。

コミックスを挙げる人が多いのも本誌の特徴です。芸術監督の野村萬斎氏自身が冒頭で「印象に残る漫画5冊」を挙げていて、これが『はいからさんが通る』『がきデカ』『マカロニほうれん荘』『北斗の拳』『日出処の王子』。野村氏は原稿の半分以上を割き、コミックスについて熱く語っています。

鴨川つばめ著『マカロニほうれん荘』は早船聡氏も挙げていて、この作品の持つテンポが身体に刷り込まれ、自身の創作上の基準になってしまったそうです。テンポは教わって身に着くものではない絶対音感のようなものだと思いますので、子供時代に受ける影響の大きさを改めて実感します。

本誌で私個人の感性にヒットしたのが、この早船氏のセレクションでした。『マカロニほうれん荘』に加え、山本周五郎著『青べか物語』、サリンジャー著『ナイン・ストーリーズ』。私がこの3冊を特に好きというわけではありませんが、選んだ理由を読むと誠実に作品に向き合う人柄が伝わってくるようで、サスペンデッズの作品を観てみたいという気にさせられます。

早船氏の出世作『鳥瞰図』は『青べか物語』からの着想だと思いますが、私は東京ディズニーランドが出来る前の浦安に住んでいましたので、『青べか物語』には特別な思いがあります。それもあって、本誌の文章は心を揺さぶられました。

コメントは受け付けていません。