この記事は2019年12月に掲載されたものです。
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全国紙2019年演劇回顧記事URL

カテゴリー: 備忘録 オン 2019年12月28日

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毎年掲載している全国紙の演劇回顧記事ですが、今年は産経新聞が見当たりません。本日まで待ちましたが、ネットへの掲載もありませんし、G-Searchの提供する有料データベース「産経新聞記事情報」でもヒットしませんでした。文芸、漫画、美術や大阪夕刊独自の伝統芸能はありますが、演劇がないのです。産経は演劇回顧をやめたのでしょうか。飯塚友子記者の記事が読めないのは残念です。

産経以外の各紙は会員登録が必要になりましたが、朝日と日経は無料会員で閲覧可能。毎日はURL末尾に「?inb=ys」を付けるとYahoo!ニュース経由と見なされ、そのまま読めます。読売はネットへの掲載が復活しましたが、本紙を購読している読者会員になる必要があります。

大作や話題作の多かった年だと思いますが、NODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』は朝日・読売・日経が触れ、特に日経・内田洋一編集委員は「野田の到達点といえる成果」と激賞しています。国際交流基金アジアセンター『プラータナー:憑依のポートレート』は朝日・読売が評価し、朝日「私の3点」でも3名中2名が挙げています。

一方で内田編集委員は「その場限りの座組みで公演を打つプロデュース公演の劣化が目につく」とし、「新国立劇場から、かつてほど傑作が生まれない」「(水戸芸術館やKAATの)先進的な企画に見るべきものがあったのは井上桂、白井晃両芸術監督の意志が強固だから。芸術監督の企画力、発信力は重要性を増している」と、新国立劇場の小川絵梨子芸術監督を牽制。朝日・毎日が小川芸術監督が始めたシリーズ「ことぜん」を紹介しているのと対照的です。

大作の代表と言えるDULL-COLORED POP「福島三部作・一挙上演」は朝日・読売・日経が挙げ、朝日・日経は震災をモチーフにした青春五月党『ある晴れた日に』などと絡めて紹介。KUNIO+KAAT『グリークス』は朝日・読売が高く評価しています。4紙すべてで名前が出た話題作は、KAAT『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』でした。

演出家では、各紙が栗山民也氏の精力的な活躍を挙げたほか、読売・日経が文学座の松本祐子氏を特筆。文学座2作品に加え、横山拓也戯曲の企画集団マッチポイント『ヒトハミナ、ヒトナミノ』、シライケイタ戯曲の劇団東演『獅子の見た夢~戦禍に生きた演劇人たち』を挙げています。

集客面では、読売が「若い観客を呼ぶヒントとなりそうな現象」として、同時期に世田谷パブリックシアター『CHIMERICA チャイメリカ』『熱帯樹』が人気俳優を出演させてシアタートラムとのハシゴ客を増やしたことや、新国立劇場『骨と十字架』での衣裳の盛り上がりに触れています。

朝日・藤谷浩二編集委員はあいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の補助金不交付問題に触れ、「公共劇場が社会で果たす役割について、腰を据えた議論と実践が必要な時だ」と締めくくっています。

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