全国紙2022年演劇回顧記事URL

カテゴリー: 備忘録 オン 2022年12月30日

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代役の利かない演劇公演に影を落とし続けるコロナ禍と相次ぐ訃報。新聞各紙は2022年をどう締めくくったのでしょうか。今年も産経新聞以外の演劇回顧記事が出揃いました。

ウクライナ侵攻、沖縄復帰50周年、映画の舞台化などがトピックになる中、全紙が特筆したのが劇団チョコレートケーキ「生き残った子孫たちへ 戦争六篇」。「なぜ戦争を止められなかったか」を問う連続上演を、読売の森重達裕記者は「骨太な史劇を作り続けてきた劇団の集大成を示した」としています。ホリプロ『hana―1970、コザが燃えた日―』も全紙が挙げました。NODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』再演も、朝日・読売・日経がロンドン・台北公演を含め、意味のある公演だったとしています。朝日の井上秀樹記者は、「近年は国際映画祭で日本の監督らの受賞が相次ぐ一方、演劇作品が社会現象になることは乏しい」と加えました。

若手では、毎日・読売が加藤拓也氏(劇団た組)の台頭、朝日・毎日・読売がピンク地底人3号氏(ピンク地底人、ももちの世界)の劇団青年座『燐光のイルカたち』戯曲提供を挙げました。4作品を演出した五戸真理枝氏(文学座)は、毎日の広瀬登記者が「人間への愛を独特のとぼけたユーモアで包み込み、出色だった」としています。五戸氏に限らず、朝日は文学座演出部を「劇団外での活動がめざましい」と記しています。

膨大な公演中止と復活しつつある客席や海外公演が交錯する現実の中、TBS×ホリプロ×ATG『ハリー・ポッターと呪いの子』のロングランシステム採用を、日経の内田洋一編集委員は「劇団四季と競う新勢力が登場したインパクトは大きい」としました。

多くの故人のうち、朝日はこの3人を紹介しました。引用させていただきます。

 自ら仮設舞台を建てる水族館劇場を率いた桃山邑、埋もれた劇作家や戯曲に光を当てたプロデューサー綿貫凜。急逝した2人の名は世界の演劇を変えた演出家ピーター・ブルックほど知られていなくとも、やりたいことを追究した情熱は、いずれ誰かが衣鉢を継ぐ。

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