「シアターアーツ」掲載不可の宮城聰批判論考を「ワンダーランド」が掲載、筆者・川口典成氏(ピーチャム・カンパニー)が原稿不掲載の経緯を公表

in 備忘録 on 2015年1月21日

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SPAC(静岡県舞台芸術センター)が2014年7月7日~19日にフランス・アヴィニョン演劇祭で上演した『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』は、7月12日の公演がアンテルミタン(舞台芸術・視聴覚産業に携わるフリー労働者)のストライキにより、中止になりました。

SPACサイト/ニュース「『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』7月12日(土)の公演中止に関して」

これに対し、SPACは広場でダイジェスト版を無料上演したのですが、このとき宮城聰氏が発表したステートメント(上記サイトに掲載)について、川口典成氏(ピーチャム・カンパニー代表)が批判の論考を1月21日付で「ワンダーランド」に発表しました。

ワンダーランド「儀礼と演劇、近代を再考する手つきについて―SPAC『マハーバーラタ』ステートメント批判」(川口典成)

同時に発行されたメールマガジン「週刊マガジン・ワンダーランド」426号の編集後記では、このように紹介されています。

アビニョン演劇祭で発表した宮城聰さんの「声明」を取り上げた批判、批評です。「小劇場レビューマガジン」の枠を超えるかもしれません。しかし現代の演劇が抱える問題に触れていることは確かでしょう。編集部で意見交換し、談論風発、議論百出を願って掲載しました。

まぐまぐ!「週刊マガジン・ワンダーランド 第426号」

川口氏がピーチャム・カンパニーサイトで発表した文章によると、「ワンダーランド」に掲載した原稿は、本来Webマガジン「シアターアーツ」に掲載予定だったものが、編集部の判断で掲載不可になったものだそうです。

ピーチャム・カンパニー公式ウェブサイト「シアターアーツ原稿不掲載の経緯について」

この文書によると、シアターアーツ編集部は「ワンダーランド」への掲載が決まってから、書き直しを前提に原稿の掲載を再提案してきたそうです。これについて、川口氏はこう書いています。

先方からきた原稿への新たなコメントは、「宮城批判」にうけとられるところを、薄める、あるいは削除してくれとのコメントでした。たとえば、「宮城氏が全体主義的なものへと傾注しているとの誤解を与える」ため修正するように、とコメントが入っています。わたしの文章は宮城氏の発言の危険性があるということを主張しているのですから、「誤解」ではありません。明らかに宮城氏に不利な発言は控えろという検閲だと考えます。

ピーチャム・カンパニー公式ウェブサイト「シアターアーツ原稿不掲載の経緯について」

「週刊マガジン・ワンダーランド」の編集後記にあるとおり、川口氏の文章は作品に対する劇評ではなく、宮城氏のステートメントに対する純然たる批判です。川口氏は「宮城批判」を望んでいるのであり、そこを薄めろというシアターアーツ編集部の見解は矛盾しているように思えます。川口氏の論考そのものには賛否両論あると思いますが、原稿不掲載に至る経緯については、シアターアーツ編集部がもっと説明責任を果たすべきではないかと思います。

なお、ワンダーランド編集部には「SPACの会」会員の片山幹生氏がいて、宮城氏のステートメントについても、「労働争議によるストライキという緊迫した局面で、一緒に舞台を作っていくアンテルミタンたちに配慮した上で、自主的な公演を行うことを正当化する苦肉の策」だと評価しています。その「ワンダーランド」が川口氏の過激とも言える論考を掲載したのですから、「ワンダーランド」は開かれた場という印象を受けます。

ワンダーランド「SPAC『マハーバーラタ』アヴィニョン演劇祭公演」9.「詩的で政治的なフェスティヴァル」の実現:教皇庁前広場での無料特別公演の反響 (片山幹生)

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