演劇集団キャラメルボックスが今秋ツアー公演日程に空き発生、上演会場を提供出来る主催・共催者を一般公募、手打ち公演のポリシーを変化させつつあるネビュラプロジェクトの新たな試み

in 備忘録 on 2015年4月26日

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演劇集団キャラメルボックスの今秋ツアー公演が「諸事情からツアー期間の合間に余裕が空きました」として、主催・共催者の一般公募をしています。半年後のことなので、上演会場を提供出来ることが前提です。ホールや劇場を有している自治体・団体・企業・学校が対象で、こうした形での募集はめずらしいと思います。

具体的な費用は明記されていませんが、条件として下記が書かれています。今後の参考になると思いますので、引用させていただきます。

  • (1) 「ホール」または「劇場」としての基本的な設備がある会場をご用意いただくこと
  • (2) 本番ステージ数に関わらず、できるだけ合計12時間以上の仕込み時間、終演後2時間以上の撤収時間をご用意いただくこと
  • (3) 出演者8名+スタッフ15名(舞台+制作)のギャランティ、照明・舞台装置等の運搬費用、及び前ツアー地からの交通費、必要ならば宿泊費は、最低保証していただくこと(要相談)
  • (4) 会場押え、宣伝、チケット販売、その他事務的な作業を劇団と協力しながら対応できるチームが存在していること

演劇集団キャラメルボックス公式ホームページ/キャラメルボックス2015グリーティングシアター『水平線の歩き方』「上演会場/主催・共催者募集について」

会場が講堂や体育館の場合は、電源や照明バトンなどの設備を審査するそうです。劇場と同等のクオリティを届けたいということでしょう。

グリーティングシアターという冠は、2014年秋の『無伴奏ソナタ』で初めて付けられました。この公演は文化庁の平成26年度「劇場・音楽堂等活性化事業(劇場・音楽堂等間ネットワーク構築支援事業)」に採択されて全国ツアーしたもので、「『会いに行く』ツアー」とも呼ばれています。

「劇場・音楽堂等間ネットワーク構築支援事業」は、複数都道府県を巡演する場合の旅費・運搬費を補助するもので、芸団協と全国公文協が文化庁から受託して推進した「舞台芸術の魅力発見事業」が前身です。上演会場は民間劇場でもよく、大規模ツアーの場合は芸術文化振興基金、トップレベルの舞台芸術創造事業に続く、第三の選択肢になり得るものです。

今回の『水平線の歩き方』はグリーティングシアター第2弾ですが、4月13日に発表された平成27年度「劇場・音楽堂等活性化事業(劇場・音楽堂等間ネットワーク構築支援事業)」採択結果に株式会社ネビュラプロジェクトはありませんでした。その9日後に主催・共催者募集を発表していますので、この辺の事情が関係しているのだろうと推察します。

文化庁サイト「劇場・音楽堂等活性化事業」

スタッフ15名というのは多く感じるかも知れませんが、劇場と同じクオリティで仕込み・バラシを行ない、当日運営するにはこれくらい必要です。私がプロデュースしていた遊気舎でも、ツアー帯同スタッフは12名前後必要で、これに現地で照明・音響のヘルプを2~3名、制作お手伝いさんを4名程度入れていました。俳優が仕込み・バラシの戦力にならない場合は、もっと人手が必要だと思います。

本番ステージ数は、単純に考えると少ないほど安上がりに思えるかも知れませんが、それもケースバイケースです。例えば1ステージだけだと、全費用がそのステージにかかってくるため、1席あたりの単価が高額になってしまいます。もし主催者が一定キャパの会場を提供可能なら、ステージ数を増やしたほうが収支が合うはずです。学校を会場にする場合もステージ数を増やし、他校の学生も来てもらうぐらいの発想にすれば成立するでしょう。提示されている日程は秋の学園祭シーズンなので、ぴったりだと思います。

昨年のグリーティングシアターでは、本公演の手打ちにこだわるネビュラプロジェクトとしてはめずらしく、各地の主催を現地の劇場やイベンターに任せました。製作総指揮の加藤昌史氏は個人ブログでこう記しています。

 基本的にキャラメルボックスは「自主公演」で公演を行う、というのをポリシーとしてきたのですが、その理由は昔僕が書いた本「いいこと思いついたっ!」にも書いていたと思います。が、それから20年近く経ち、世の中は動き、僕らが自主公演を貫く最大のネックとなっていたことが解消されていって、「主催」を自分たち以外の「外部の主催者」に安心してお任せできるようになった、というわけです。つまり、昔は僕らのポリシーは世の中には受け入れられなかったのに、今では話し合って可能な限り受け入れていただけるようになった、ということ。素敵なことです。
 たとえば、今回の大阪公演ではキョードー主催だというのに、キャラメルボックスの十八番「当日半額券 ハーフプライス・チケット」がいつも通りに発売されます。実はこれは画期的なことなのですが、それはもう演劇製作の世界だけの話なので騒がずにおきます。

 そんなこんなで今回の「会いに行く」ツアーは、全部自分たちでやる、というこれまでのキャラメルボックスの製作のやり方をも少しずつ拡げていくためのものでもあるのです。いろんな会場のたくさんのスタッフの方々お借りしながら、僕たちも今まで通りやれることは全力でやる、ということで作り上げていくツアー。

加藤の今日「11日(土)17時、12日(日)14時、13日(祝)14時、というたったの3ステージの『無伴奏ソナタ』大阪公演について。」

今回は想定外の主催・共催者募集だと思いますが、現地とどこまでコラボレーション出来るかという実験の場でもあるわけで、この試みを契機に新たな全国ツアーの手法が生まれる可能性もあります。ぜひ、成功事例をつくってほしいと思います。

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