この記事は2015年8月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。

架空の企画が本公演に発展したiaku新作『walk in closet』、デザイナー競作による架空チラシ展の再開催や劇作家の初稿一人リーディングで東京公演を盛り上げる

カテゴリー: 備忘録 オン 2015年8月9日

Pocket

エーヨンオアビーゴ「今日、この5人がふたたび横山拓也の脚本をデザインするなら。」

長年付き合いのあるデザイナーが別にいるのに、架空の公演という設定でチラシのデザインをさせてくれないかと、「iaku」(本拠地・大阪府吹田市)代表の劇作家・横山拓也氏に頼み込んだ関西のデザイナー5名がいました。架空の公演『クローゼット』の戯曲を書いてもらい、「エーヨンオアビーゴ」というグループ名で、エーヨンオアビーゴ 5人の演劇チラシ展「今日、この5人が横山拓也の脚本をデザインするなら。」を昨年4月にOZC GALLERY(大阪・梅田)で開催したのです。

まさにデザイナーからの逆オファーのようなもので、オファーされた横山氏は昨年の経緯を、

嬉しかった。関西で一線で活躍するデザイナーたちが僕を選んでくれたことが嬉しいじゃない。

yokoyama-iaku.com「今日、この5人がふたたび横山拓也の脚本をデザインするなら。」

と語っています。付き合ってきたデザイナーの心象を害さないよう、うまく筋を通す必要があるとは思いますが、本来はデザイナーだって常に競い合う存在なわけで、こうした企画は表現の幅を広げる試みだと思います。OZC GALLERYはかつて「カラビンカ」と呼ばれ、公演会場にも使われているスペース。先輩デザイナーを呼んでのトークセッションや、『クローゼット』の一部をリーディングする企画もあり、宣伝美術を起点にしたユニークなイベントでした。

今秋、『クローゼット』が新作『walk in closet』となり、iakuが伊丹、東京でツアーすることになりました。そこで、エーヨンオアビーゴ 5人の演劇チラシ展「今日、この5人がふたたび横山拓也の脚本をデザインするなら。」がBooks & Gallery 81BOOKS(東京・中目黒)で9月10日~12日に開催されます。

今回はiaku自身の主催で、iakuの本来のデザイナーである下元浩人氏(81 EIGHTY ONE)の持つギャラリーでの開催です。6月にガプリヨツ×横山拓也『人の気も知らないで』公演会場にもなった場所です。今回は『walk in closet』のデザインを競うわけですが、もちろん本物のチラシは下元氏が手掛けます。エーヨンオアビーゴの5名は本物と並んで架空のコンペをするわけで、自分のギャラリーでこれを受け入れる下元氏も太っ腹だと思います。5名がこれまで手掛けてきた関西のチラシも展示され、横山氏も基本的に3日間在廊するとのことです。

関連企画ではもう一つ、「初稿を劇作家・横山拓也が自ら読む(全部)」が発表されています。『walk in closet』の初稿を、東京公演会場となる吉祥寺シアター稽古場で横山氏一人が読み、そこで出た意見を反映させていく試みです。俳優によるリーディングではなく、劇作家が一人で全部読むのはめずらしいと思います。

エーヨンオアビーゴの一人・山口良太氏は、2011年から『音楽と演劇の年賀状展』も開催していて、これもユニークな展覧会だなと思っています。

コメントは受け付けていません。