この記事は2016年1月に掲載されたものです。
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演劇ライターの尾上そら氏と河野桃子氏が強く推す北九州・ブルーエゴナク――本当に注目されれば東京から北九州まで足を運んでもらえるのだ
東京公演の少ない地域のカンパニーが、東京の演劇ライターに強く注目されるのは稀ですが、2015年は北九州を本拠するブルーエゴナクが、複数の演劇ライターに推されているのが印象に残りました。
12年旗揚げの若いカンパニーですが、北九州・福岡以外でも積極的に活動しています。特に京都では、13年にKAIKAの試演会「Gate」、15年にKAIKAによる松原京極商店街でのアーティスト・イン・レジデンス、そしてアトリエ劇研の創造サポートカンパニーに選ばれ、年末に本公演を行ないました。創造サポートカンパニーは3か年事業なので、アトリエ劇研が閉館する17年度まで続くと思います。東京では14年に王子小劇場で本公演を行なっています。
このブルーエゴナクを強く推しているのが、演劇ライターの尾上そら(大堀久美子)氏*1 と河野桃子氏。ほかにもいるかも知れませんが、私が普通に気づいたのがこの2名です。
尾上氏は元々九州のカンパニーを応援し、ブルーエゴナクのポストパフォーマンストークにも出演していますが、雑誌『フリースタイル』30号では、15年6月に上演された『POP!!!!』をその四半期の注目の3本に挙げています。『POP!!!!』は北九州と福岡でしか上演されていませんので、尾上氏は現地に足を運んでいるわけです。
河野氏はWOWOWの演劇情報ポータル「エンタステージ」の「【エンタステージ2015総まとめ】2015年のストレートプレイは!?」で、16年の注目として東京以外では唯一ブルーエゴナクを挙げています。
河野氏も『POP!!!!』の通し稽古を観て、個人ブログで「ブルーエゴナクは演劇界を変えるかもしれない」と可能性を示唆しています。河野氏がこの10年間に出会った無名の若者でそう感じたのは、藤田貴大氏(現・マームとジプシー)、山本卓卓氏(範宙遊泳)、そしてブルーエゴナクの穴迫信一氏だけだそうです。
彼らの芝居は、演劇界を変えるかもしれない。
それくらいの可能性の片鱗を感じた。それは、10年前に藤田貴大くん(マームとジプシー(当時荒縄ジャガー))に会ったときと、5年前に山本卓卓さん(範宙遊泳)を観たときの「ああこの人は演劇で人の心を変えることができる」という納得に近い感覚で、それはプロの方にはたくさんいるが、まだ無名の、荒削りの、ただの若者のなかでは、この10年でその3人にしか感じてない。
(中略)
もし大舞台を望むなら、今まで演劇を観続けてきた専門家の方々に観てもらえ、もう少し観客と一緒に未来を見つめられる舞台になっていけば、次の時代は穴迫さんのものなんじゃないかと思う。
ブルーエゴナクは演劇界を変えるかもしれない。彼らにその気があれば。
河野氏は、藤田氏がまだリフレインの技法を確立していない10年前に可能性を見抜いていたようなので、この直感は信用出来るかも知れません。
このように、機会があれば地域の公演や稽古場に足を運ぶ演劇ライターも出てきたわけです。地域のカンパニーもあきらめず、本当に自信があるなら東京の演劇ライターに積極的に声掛けしたらいいと思います。評価をもらえれば、助成金申請の有力な添付資料にもなります。
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- 文章のみの場合に尾上そら名義、取材やインタビュー、顔出しをする場合は大堀久美子名義。 [↩]