この記事は2017年11月に掲載されたものです。
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法人化して継続活動の基盤を整えた「TOHOKU Roots Project」は、カンパニーと俳優の新しい関係性を示す事例になるかも
2016年3月~4月に、音楽劇『想稿・銀河鉄道の夜』で東京・東北ツアーを行なった「TOHOKU Roots Project」。東北出身の演劇人が集まったプロデュース公演の一つだと思っていましたが、16年9月に法人化&カンパニー化し、一般社団法人東北ルーツプロジェクトになったと知ったとき、その本気度が伝わりました。
さらに目を見張ったのが、18年3月~4月に予定している第2回本公演『星の祭に吹く風』の仮チラシ第1弾が、1年前の17年3月に出回ったこと。この時点で東京公演日程と前売開始日が明記されており、私が知る限り、1年前にここまでの情報を記載した仮チラシはなかったと思います。
東京と東北をつなぐことを理念とした団体ですので、俳優の年齢も様々で、別のカンパニーに所属する人もいます。複数のカンパニーに所属することが寛容になってきたとはいえ、TOHOKU Roots Projectの動きはそれを超えたものがあり、今後のカンパニーと俳優の新しい関係性を示す事例になるかも知れません。
独自に助成金を獲得し、俳優の新たな活動の場を創出することも始めています。国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金」助成事業に採択され、今年8月~10月にワークショップを開催しています。
東北ツアーは費用もかかります。『想稿・銀河鉄道の夜』や音楽ライブではサポーターという名称で支援を募りましたが、『星の祭に吹く風』は企業メセナ協議会助成認定活動になりました。同協議会のポータルサイト「かるふぁん!」から寄付すると、寄付金控除の対象になります。東京都にお住まいの方は、さらに都民税も税額控除されます。
グッズ通販も注目です。モバイルバッテリーという防災を意識した実用的グッズを作成しています。こうした値段が張って在庫が持てないグッズも、最近は受注生産で1点から作成出来るサービスが出来ました。ここは「Canvath」を使われているのではないかと思います。ほかに販売委託まで出来る「SUZURI」もあります。これらはイラストレーターの利用が多いようですが、カンパニーも高額商品をリスクなしに販売可能です。
組織だけではなく、様々な面で挑戦を続けているTOHOKU Roots Projectの活動に注目したいと思います。『想稿・銀河鉄道の夜』PVもドキュメントタッチで秀逸でした。