この記事は2016年8月に掲載されたものです。
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演劇制作者向きの人材が「演劇部」ではなく「放送部」にいる5つの理由

カテゴリー: TIPS オン 2016年8月1日

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演劇制作者は「演劇部」出身だと思い込んでいる人が多いようですが、そんなことはありません。もし演劇部にいたとしたら、俳優や他のスタッフワークをやりたくなるでしょうし、学内施設を使えば専任制作者は不要だと思いますので、演劇部で専任制作者になりたい人は少数派ではないでしょうか。

制作者の経歴は様々ですが、有能なプロデューサー・制作者をスカウトする有力なルートとして、私は「放送部」を挙げたいと思います。実際に放送部出身のプロデューサー・制作者は多いですし、放送部は演劇制作に求められる資質を兼ね備えていると思います。

  1. スタッフ志向が叩き込まれている

    表舞台を支えるスタッフ志向という点では、放送部ほど浸透している部活動はないと思います。学校行事でも本部席や舞台裏に待機し、影でイベントを進行します。スタッフとしての責任感、「ショウ・マスト・ゴー・オン」の精神が身体に叩き込まれています。

  2. 演劇制作と過程が似ている

    出演者やスタッフを座組して番組やイベントを制作する過程は、演劇とあまり変わりません(稽古期間は短いですが)。演出家の気持ちも理解出来ますし、クリエイション全体に目配り出来ます。専門用語が少し異なるだけで、あとは即戦力だと思います。

  3. 芸術面へのこだわりは演劇部と同じ

    ドラマを制作する放送部は、芸術面へのこだわりは演劇部と同じです。発声や滑舌は演劇部より厳しいかも知れません。スタッフワークでも映像や音響は専門ですし、イベント運営もするため、舞台の知見もあります。演劇部に通じることばかりです。

  4. 広報宣伝のセンスが身に着いている

    取材する立場なので、逆に自分たちの活動を広めていくことも得意です。学内マスコミとして情報が集まるので、どんなアプローチをすれば相手が伝えたくなるかを理解し、広報宣伝のセンスが自然と身に着いています。渉外能力も高いと思います。

  5. 客観的な視点を持っている

    学内マスコミという立場上、対象と距離を置き、客観的に物事を見つめる力が求められます。演劇制作でも、制作者は最初の観客としての役割を担います。作品づくりの一方で、こうした醒めた視点を持っていることが、制作者に欠かせない資質だと思います。

放送部から人材を引き抜く方法も教えましょう。最初はもちろん公演を観てもらいます。そのうち親しくなったら、演劇部の密着取材をしてもらうのです。演劇部を題材にドキュメンタリー番組を制作してもらうのです。「番組にしたい」と思わせるだけの魅力がないとダメですが、もしあればミイラ取りがミイラになるように、番組が完成したころには「演劇部を手伝いたい」と思うようになっているはず。

放送部以外では、学園祭事務局が近い感性を持っていると思います。全体の目的のため、黒衣に徹してライブイベントを成功させる姿が似ています。高校までだと生徒会が兼ねているところが多いと思いますが、大学になると専門のイベント集団が多いので、その人脈も探ってみては。

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