この記事は2016年2月に掲載されたものです。
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信じられない、劇場スタッフに本番を観せないカンパニーがあるらしい――これは自分でチャンスの芽を摘んでいるようなもの

カテゴリー: TIPS オン 2016年2月12日

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制作者として信じ難いことですが、自分たちが公演している劇場のスタッフに、本番を観てもらわないカンパニーがあるそうです。公演中、一度も本番を観てもらう機会がないまま、劇場利用が終わってしまうわけです。

人気の公演で空席がない場合、当日いきなり言われると席が取れないと思いますが、仕込みの段階なら招待席の予備があるはずです。制作者のほうから「どの回をご覧になりますか」と尋ね、席を確保すべきではないでしょうか。劇場側も遠慮して、はっきり招待を要求してくることはないかも知れませんが、だからこそ制作者のほうから早めに動くべきなのです。

借りているだけの劇場スタッフに対し、そこまでやる必要はないと思っている制作者がいたら、大きな誤りです。劇場の多くは貸館の場合も単なる先着順ではなく、「意思のある貸館」として貸す相手を選んでいます。そのためには、まず公演を観てもらわないと話になりません。

今後は別の劇場でやることが決まっていても、他の企画でまたお世話になる可能性があるでしょう。俳優が他団体に客演して使うこともあるでしょう。劇場は、演劇評論家やライターとの付き合いもあります。白水社から岸田戯曲賞候補作の推薦も依頼されています。本番を観てもらい、記憶に残してもらうことが、最大の武器になるのです。劇場側が固辞するなら仕方ありませんが、そうでない限り、劇場スタッフを招待しないというのは信じられません。チャンスの芽を自ら摘んでいるようなものです。

劇場に対しては、初日乾杯に誘ったり、差し入れをおすそ分けしたり、大入り袋を出したりするより、本番を観てもらうことのほうがずっと重要なことだと思います。

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