クラウドファンディングで演劇ならではのリターンを考える――43個のアイデアを自分でダメ出ししてみた

in 備忘録 on 2017年5月16日

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昨年11月、映画『この世界の片隅に』のエンドロールで流れたクラウドファンディングのクレジットに感動して以来、演劇にとっての最高のリターンはなにかを考え続けています。

演劇も本番を撮影し、DVD化される際にクレジットを入れることは可能ですが、ライブこそが魅力の舞台芸術なら、もっと違う体験型のリターンがあるように感じます。

アイデアを整理するため、いただいたご意見も参考にしながら思いついたものを列挙し、自分自身でダメ出ししたいと思います。公演準備の時間軸に沿って並べます。★は個人的にいいかも、と思ったものです。

    (事前準備)

  1. 取材ツアーに同行

    作品のモチーフを実際に体験するイベントを開催。作品で描かれる業界見学ツアーや舞台となる場所を訪れる。費用は各自負担とするが、作品世界により深く触れることになる。人数が多いと対応が困難。

  2. 取材記録を共有★

    戯曲完成までの取材ノート・資料写真等を、支援者だけにネットで公開。詳細な展開を伏せればネタバレも回避。同じ時間を過ごしながら、戯曲の完成を待つ。

  3. 登場人物の名前をリクエスト

    自分が名付け親になるとうれしいが、数に限りがある。

  4. 登場人物の名前を投票

    劇作家が複数案をつくり、支援者の投票で選ぶ。作品に参加した体験となる。

  5. 客演をリクエスト

    参考意見をもらうことは出来るが、実現困難。これはボツ。

  6. 再演作品をリクエスト

    ファンの人気投票で再演作品を選ぶことはめずらしくない。支援者だけの投票にするか、支援者の持ち点を多くする。

  7. カウントダウン用カレンダー★

    公演初日が決定したら、その日までをカウントダウンするカレンダーを作成して送る。日めくりでもいいし、スマホ専用アプリを開発してもいい。公演までの日数を共に過ごすことが大切。

  8. UNIQLOCK風カウントダウンツール

    7と同様に、公演初日までのカウントダウンをするスクリーンセーバーや待ち受け画面を開発する。

  9. (稽古期間)

  10. 本読みに招待★

    小劇場演劇では少ないが、劇作家・演出家が意図を説明しながら俳優に戯曲を読み聞かせることを「本読み」と言う。広い稽古場を借りて支援者も同席。ネタバレを好まない場合は不参加・途中退席。

  11. 稽古場に出入自由

    スタッフパスを発行すれば、記念品にもなる。人数が多いと対応が困難。ネタバレになる場合は予め周知。

  12. 稽古風景を毎回配信

    支援者だけがログイン可能なシステムで毎回配信。ネタバレになる場合は予め周知。

  13. ワークインプログレス(公開稽古)に招待★

    支援者に稽古を見てもらう回をつくる。広い稽古場が必要。ネタバレになる場合は予め周知。

  14. 衣裳合わせイベントに招待★

    稽古後半の華である衣裳合わせを、会場を借りてファッションショー化。撮影自由にしてSNSで広めてもらう。開催費用がネック。

  15. トライアウト(試演会)に招待★

    会場を借りて最低限の機材で試演、支援者の感想を聞く。本番に反映される可能性もあり、作品に参加した体験となる。ネタバレを好まない場合は不参加・途中退席。開催費用がネック。

  16. スタッフ・キャストとの交流会

    せっかく費用をかけるなら、作品に参加した体験にしたい。ここではボツ。

  17. (宣伝関連)

  18. チラシにクレジット掲載★

    観客にとって、最もクレジットされたいのはチラシ。本番まで形がない演劇では、チラシが心の拠りどころ。当日パンフ、有料パンフ、DVDよりチラシ。課題は印刷の締切が早いこと、人数が多い場合のスペース。

  19. 追加ステージに充当

    支援金の使途にもよるが、「クラウドファンディングによる追加ステージ」を実施。観客が増えることは支援者にも喜び。

  20. チケット代がクラウドファンディングによることを宣伝

    映画と違い、演劇はチケット代が作品によって異なる。支援がなければ、チケット代が上がる可能性もあったはず。そう考えると、「このチケット代は支援で実現した」と訴えてもいい。ただし、演劇は元々高いと思われているため、どこまで共感してもらえるか疑問。

  21. ポスター・チラシの配布協力★

    発想の転換で、支援者にポスター貼りやチラシ配布を依頼してしまう。受け取るだけがリターンではなく、宣伝を手伝って公演の成功に協力すること自体が体験。

  22. カルチベートチケットに充当★

    地点や時間堂が行なってきたカルチベートチケット(誰かがが使える支払済み当日券)。作品を広める趣旨には合致している。2015年には、前川麻子氏のアンファンテリブル・プロデュースが「達成金10万円ごとに3枚の積み立て」という形でトライ。

  23. (本番期間)

  24. 支援者だけの事前入場

    支援者は早めに入場し、ロビーでくつろいだり、客席で俳優のウォーミングアップを見学可能。作品世界を壊したり、プリセットの邪魔になるかも。

  25. 支援者だけのオリジナルチケット

    悪くはないが、記念品としての要素が強いかも。

  26. 支援金の使途を解説したガイドブック配布★

    本番前に目を通すことで、支援金が具体的にどう使われたのかがわかり、作品に参加した体験となる。支援者以外の観客全員にも配布し、支援の価値を伝える。本番前に作成するのは負荷だが、それだけの意義がある。

  27. 客入れの音楽をリクエスト

    作品世界を壊したり、対応出来る人数が限られる。

  28. 支援者に追加の座布団

    元々のイスが劣悪なのが問題で、サービス格差を生むためボツ。

  29. 前説で観客数を発表、公式サイトやSNSにも掲載★

    直接のリターンではないが、クラウドファンディングを実施した公演なら、観客数を正確に発表すべき。それが支援者への答えになる。

  30. 支援者は特別な場所から観劇

    かぶりつき、オペ席横、ギャラリーなどからの観劇。人数が多いと対応が困難。

  31. 上演前後の暗転中、支援者の席をサスで抜く

    指定席で事前に来場日時が判明していた場合のサプライズ。対応出来る人数が限られ、客席真上にサスペンションライトが吊れるかも疑問。27と連動するとよい。

  32. 客席を支援者シートに

    プロスポーツの選手シートと同様に、客席を支援者によるシートと見立てる。招待席ではないが、客席に支援者の名前を貼り、支援で公演が実現したことを伝える。テプラを貼る美観の問題、支援者自身が喜ぶかが疑問。

  33. カーテンコールで感謝の言葉★

    この公演がクラウドファンディングで実現したことを、主宰がきちんと言葉にする。受付と連携し、「この回にはXX名の支援者の方が来場されています」と紹介。

  34. 終演後、御礼のメッセージを投影

    映画のエンドロールと同じイメージだが、作品の余韻を妨げるかも。

  35. 支援者だけのバックステージツアー

    事前入場の逆パターン。毎回ツアーする時間が設けられるかが課題。

  36. 終演後、劇場外に御礼の垂れ幕

    入場時になかった垂れ幕を出すことで、同じ時空を体験したと実感させるねらい。だが、これもサプライズか。

  37. 本番中の舞台写真が終演直後にスマホに届く★

    終演直後に届けば感動も増す。来場日時に合わせたメーリングリストが必要だが、インスタ好きにはよいかも。

  38. (公演終了後)

  39. 名前の書かれた大入り袋が届く★

    打ち上げに参加するのは現実的ではないため、後日送付。これも記念品だが、最も演劇らしい。大入り袋そのものより渡すときの読み上げが重要なので、その音声ファイルも送付。人数が多いときは別途収録。

  40. 演出家使用済み戯曲(書き込み多数)の複製が届く

    悪くはないが、普通にグッズとして販売すべき。

  41. 後日譚が収録されたDVDが届く★

    後日譚自体が馴染まない場合もあるが、作品によってはマッチするかも。

  42. 衣装や小道具のプレゼント

    対応出来る人数が限られる。本当に不要なら、ファンにオークションすればいい。

  43. 主役と同じ衣裳生地による小物プレゼント

    生地は別途購入しておくが、加工の労力がかかる。普通にグッズとして販売すべき。

  44. 公演のメイキングビデオが届く★

    作品本編ではなく、構想段階から打ち上げまでを追いかけたドキュメント映像。これがつくれるなら、このエンドロールにクレジットを入れる価値がある。

  45. 劇評・受賞をメールマガジン配信、それをまとめた冊子が1年後に届く

    支援した作品が評価されるとうれしいが、評価されない場合はどうするか。費用を長期間キープする必要あり。

  46. スタッフ・キャストがこの作品をプロフィールに記載し続ける★

    これも直接のリターンではないが、関係者がこの作品を記憶し続け、プロフィールに必ず入れてくれるとうれしいはず。

  47. ネット上に支援のアーカイブを保存★

    意識していない支援者も多いが、これは最初から実現している。クラウドファンディングのサイト自体がアーカイブ機能を持っているからだ。『この世界の片隅に』を支援した人は、「Makuake」に記録が残り続ける。当たり前すぎてリターンに思えないかも知れないが、大切なことだと思う。

まだまだ考えます。

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