この記事は2019年3月に掲載されたものです。
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OMS戯曲賞25周年でネクステージが大阪ガスとコラボレーション、期間限定で受賞19作品を「観劇三昧」で無料配信+戯曲賞本バックナンバー特別販売
OMS戯曲賞(主催/大阪ガス株式会社)が25周年を迎えたのを記念し、動画配信サービス「観劇三昧」を運営する株式会社ネクステージ(大阪市)が、コラボレーション企画として特設サイトを開設しました。
OMS戯曲賞は、大阪ガスグループが運営していた扇町ミュージアムスクエア(OMS、大阪・扇町)の10周年記念事業として1994年にスタートし、2003年に同劇場が閉館したあとも続けられています。関西在住・本拠地の劇作家を対象にした新作書き下ろしで、前年に上演されたことが応募条件になっている、めずらしい戯曲賞です。賞金と戯曲出版、第7回まではOMS主催によるプロデュース公演も行なわれました(現在は賞金を減額し、再演に助成金)。
関西の演劇文化に貢献することはもちろんですが、92年にテアトロ・イン・キャビン戯曲賞が終了し、関西発の戯曲賞がなくなったことに対する企画でした。当時は関西在住の劇作家が東京で評価される機会が少なく、なんらかの戯曲賞を受賞しないと岸田戯曲賞の候補になれない時代でした。この賞がなければ、松田正隆氏(第1回大賞、第2回特別賞)が全国に知られるのはずいぶん遅れたことでしょう。これが96年の鈴江俊郎氏(第2回大賞)との岸田戯曲賞同時受賞につながっていったのです。
特設サイトでは、これまでの大賞・佳作・特別賞作品を紹介。うち19作品を「観劇三昧」で3月25日~4月25日まで無料配信中です。この期間に「OMS戯曲賞本」バックナンバーも特別販売しています。OMS戯曲賞20年記念誌『言葉の劇場』もあります。「観劇三昧」リアル店舗(日本橋店・下北沢店)でも販売しており、数量限定早い者勝ちとのことです。
『言葉の劇場』は一般の観客にあまり知られていないと思いますが、歴代受賞者・選考委員のエッセイ、受賞作品の解説に加え、応募全作品を読み込む予備選考委員たちの座談会、元OMSスタッフたちのバックステージ座談会が読み応えあります。特に山納洋氏(元・OMSマネージャー)の語るOMSプロデュースでの劇作家と演出家のせめぎ合いは、詳細は書かれていませんが目に浮かぶよう。山納氏が「OMSがあるから大阪ガスに入社した」と先輩スタッフに思われていて、「それは吉田君です」(吉田和睦氏=現・ヨーロッパ企画、株式会社オポス代表取締役)と訂正するところで笑ってしまいました。