この記事は2015年11月に掲載されたものです。
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京都で俳優のオーディションをすると半分以上が東京からの応募という現実に、下鴨車窓・田辺剛氏は新たなユニットを設立することを決意した

カテゴリー: 備忘録 オン 2015年11月14日

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下鴨車窓主宰の田辺剛氏が、本拠地の京都で新たなユニット「fullsize」(ふるさいず)を設立することを発表しました。これまで下鴨車窓は作品ごとにメンバーを募るプロデュース形式でしたが、京都の現状を鑑み、メンバーを固定化した新ユニットが必要と考えたそうです。

近年ではオーディションを行うと(今のところは)九州から東北までさまざまな地域から応募をいただきます。特に『漂着(island)』(2015年上演)や『旅行者』(2016年上演予定)では半分以上が東京に在住する方からの応募でした。このように全国にわたって様々な出会いが生まれることを喜ぶ一方で、地元京都の、特に20代の俳優との出会いが少なくなっていることを主宰の田辺は気にかけていました。下鴨車窓は京都を拠点に活動することを方針の一つとして持っています。しかしこのままでは京都の若い俳優との距離は遠ざかるばかりで何か新たな取り組みが必要ではないかと考えていました。

no size「京都で劇団を作ります:下鴨車窓の新ユニット”fullsize”メンバー募集中」

「若い俳優との距離は遠ざかるばかり」というのは、同じ京都のMONOが問題提起した若い俳優・観客との距離感に通じるものがあります。

稽古場が京都であっても、半分以上が東京からの応募というのは考えさせられます。意欲のある俳優は、東京に集中しているのでしょうか。関西の俳優は、昼稽古がある団体に参加することをあきらめているのでしょうか。

「ユニットの設立」と口で言うのは簡単ですが、田辺氏は今後の活動計画をきちんとコミットし、金銭的負担を求めないことまで謳っています。設立前にここまで明記する主宰者は、めずらしいのではないでしょうか。それだけ危機感を抱いていることの表われだと思います。

参加説明会の資料が非常に詳しいので、ぜひ参考にしてください。例えば、メンバーが自己都合で退団する場合は次のとおり規定されています。入団時に、これに基づく契約書を交わすとよいと思います。

退団を希望する本人が関わる企画がすでに始まって以降に退団する場合、主宰は退団にともなう損害について退団者に賠償を請求する(チラシの差し替えにともなう印刷費、代役の出演に関わる経費、代わりのスタッフワークを手配する経費など)

no size「fullsize参加説明会資料」

もちろん、制作者など俳優以外のスタッフも募集しています。メンバーが3名集まらない場合は設立中止で、募集自体は年内受け付けているそうです。

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