この記事は2016年3月に掲載されたものです。
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制作講座でよくある「企画書の書き方」は単なる書類の作成方法でなく、企画立案の考え方をディスカッションする場であるべき。受講者も時間のムダにならないよう、内容をよく確かめてから受講してほしい

カテゴリー: TIPS オン 2016年3月19日

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東京から高知に戻られた斎藤努プロデューサーが、とてもよいツイートをしています。

チラシを作成してから相談されても遅いということです。チラシに載せる情報を考えることこそが演劇制作のセンスであり、それがダメだと宣伝をがんばってもあまり効果がないということです。

ここで気づいた方も多いと思いますが、チラシより先に作成するのが公演企画書です。つまり、全く同じことが公演企画書にも言えるわけです*1

そう考えると、制作講座でよく見かける「公演企画書の書き方」は、単に書類の作成方法を教えるだけではダメで、企画の立て方そのものを学ぶ内容でなければなりません。体裁を整えるだけなら、お手本を見れば誰にでも書けます。わざわざ講座で教えるようなものではないでしょう。他公演の公演企画書を参考にしてもいいですし、fringe[ナレッジ]でも項目を設けています。

fringe[ナレッジ]「公演企画書の書き方・送り方」

大切なのは、公演企画書に書くデータの詳細です。そのデータをいかにして決めたのかが問われるのです。いかに見やすく書くかといった体裁レベルのことよりも、なぜそのデータなのかを掘り下げて議論する場にしてください。体裁は優れたテンプレートを使えばいいのです。具体的には次のような項目になるでしょう。

  • 舞台と客席の配置
  • タイムテーブル・託児の有無
  • 公演前のプロモーション
  • 公演中の付帯イベント
  • 券種・料金・特典
  • 前売開始日と販売方法

一つ一つが大きな可能性をはらんでおり、例えばタイムテーブルについて真剣に議論したら、それだけで何時間もかかるはずです。「公演企画書の書き方」とは、そういうディスカッションをする場であるべきだと私は思います。

戯曲の完成前や舞台美術の打ち合わせ前に、「舞台と客席の配置」は決められないと思うかも知れませんが、普通のプロセニアム形式で行くのか、平土間で客席を何方向から囲むのかは、公演企画書の段階で決めてください。これが宣伝材料にもなれば、チケット券種や料金にも大きく関係します。

もう1点重要なのが、完成した公演企画書をいつ誰に送るかということ。無名のカンパニーがマスコミの部署宛に送っても、相手は毎日膨大な資料が届いていますので、積んでおかれるだけだと思います。「公演企画書の書き方」を教えるなら、いかに開封意欲をそそるデザインにして、個人名まで明記された宛名リストを用意するかまで、セットで教えてあげてください。

制作講座は「公演企画書の書き方」の定番メニューだけに、斎藤氏のツイートを見て内容が気になりました。もし、書類の作成講座のような内容なら、それは時間のムダですから受講しなくていいと思います。そんな講師には「本当の企画立案の考え方をディスカッションしませんか」と言ってあげてください。

  1. ここで言う公演企画書はプレスリリース用です。劇場契約やキャスティングに使用する公演企画書は、もっと前段階のもので内容が異なります。 []

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