この記事は2016年3月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。
小劇場系で公演後に御礼状を受け取るのは千回に1回くらい、こんな状況だからこそ御礼状をきちんと出せば劇場関係者・マスコミ関係者の心を確実に掴める(新アイデアも紹介)
私がこれまで受け取った企画書や招待状は3千通以上になると思いますが、そのうち公演後に御礼状が送られてきたのは数回です。つまり、御礼状を送る制作者は千回に1回くらいしかいないということです。これは誇張でもなんでもない事実です。
小劇場系がほとんどなので、商業演劇では異なるかも知れませんが、少なくとも小劇場系では御礼状を送る習慣は全く根付いていません。終わったことを顧みない演劇人の気質なのかも知れませんが、ここにこそ差別化を図るチャンスがあります。
誰も御礼状を送らないなら、官製ハガキにモノクロ印刷で構わないので、とにかく送るだけで相手の記憶に残ります。毎公演送れば知名度もどんどん上がります。未知のカンパニーでも、一度くらい足を運んでみようかという気になります。
演劇制作の分野に社会人経験を持った人が増えれば、小劇場は変わるという意見を見かけますが、御礼状はビジネスの世界では当たり前のことです。こうした演劇人だけでは気づかないエアポケットのようなものがたくさんあって、それを的確に潰していけば、動員を伸ばすことはそれほど難しいことではないと感じます。
詳しくは「カンパニーを進化させ集客へと導く具体的な方法/(2)招待状より御礼状を出す」に書きましたが、私の場合は御礼状が本当に効果的でした。こんな普通の方法で目立てたこと自体がラッキーで、本来なら陳腐化していないといけないのですが……。四半世紀たってもこの手が使えるなんて複雑な心境です。
御礼状のポイントは次の4点です。
- 企画書・招待状を送付した相手全員に送る。来場していなくても全員に送る。
- 公演終了後、遅くとも1週間以内に届くようにする。
- ハガキで送る。開封しなければ読めないものでは送らない。
- 正確な動員数を記載する。前回からの増減、有料動員数や前売比率があるとなおよい。
公演後は心身共に疲れ果てていると思いますが、事前に文面を作成し、動員数を入れれば印刷出来るようにしておき、宛名ラベルも企画書・招待状を送るときに1セット余分に印字しておけば、発送作業も楽になるでしょう。
さらに一工夫。私がいま御礼状を出すとしたら、動員数などの実績データは公式サイトで紹介し、そのURLを書いたハガキを事前に印刷し、配達日指定郵便で楽日翌日に届くよう先に出しておきます。こうすれば、バラシ中にサイトの当該ページを更新するだけで済みます。ハガキを平日配達日指定にすると1通83円で、手紙の82円とほぼ同じ。これで劇場関係者・マスコミ関係者が興味を持って、サイトまで閲覧してくれたら安いものでしょう。
日本郵便の配達日指定は、日曜休日は+210円と高額ですが、平日なら+31円です。アイデア次第で活用出来ると思います。