この記事は2019年1月に掲載されたものです。
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全国紙2018年演劇回顧記事URL

カテゴリー: 備忘録 オン 2019年1月5日

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全国紙の2018年演劇回顧記事です。各紙の有料サイト化が進み、朝日は無料会員で1日1本のみ、毎日は無料閲覧が不可になりました。ただし、毎日はYahoo!ニュース経由だと無料で、URL末尾に「?inb=ys」を加えると有料記事も読めるのでお試しあれ。逆に日経は15年から別サイト「NIKKEI STYLE」で長文回顧記事を無料公開しており、紙幅の限られた本紙を有料にするくらいなら、このほうが見識を示す回顧記事としては良心的な対応だと感じます。

朝日・毎日・読売は質の高い再演に触れ、NODA・MAP『贋作 桜の森の満開の下』、Bunkamura『ニンゲン御破算』、モダンスイマーズ「句読点三部作」を複数紙が挙げています。ほかにBunkamura『プルートゥ PLUTO』、ナイロン100℃『百年の秘密』、ハイバイ『て』『夫婦』、シアター風姿花伝「パラドックス定数オーソドックス」。毎日・濱田元子論説委員は「消費財ではなく、『持続可能性』を探る試みは重要」としています。

17年は全く言及のなかった2.5次元演劇ですが、18年は筆者を飯塚友子記者+三宅令記者に戻した産経が、急成長ぶりをぴあ総研の数字を引きながら紹介しています。17年の数字だと、2.5次元の推計動員は前年比48.1%増の223万人で、集計途中の18年も増加傾向とのこと。都心の劇場不足やインバウンド需要に対応した英語チケット情報・販売サイトが急務としています。

日経・内田洋一編集委員は「経済成長の実感をもったことがなく、浮ついた夢は語らない」ロスジェネ世代が創作劇の最前線を担い、「ありのままの歴史を見すえよう」としているとし、70年代生まれの劇作家・演出家を列挙。その上で新国立劇場演劇芸術監督に就任した小川絵梨子氏(78年生まれ)を例に、「芸術監督の人材難を嘆く劇場関係者は多いが、新しい演劇の時代をひらくため、ともに汗をかくべき時期にきていないか」と提言しています。

朝日・星賀亨弘記者も、この世代を中心とした活躍を「舞台に確かなリアルさを感じる」とし、毎日・濱田論説委員は、70年代生まれの演劇人が「社会に閉塞感が広がるなか、気概のある作品を送り出した」としています。もはや青年団やSPACが老舗扱いとなり、70年代生まれが中堅という実感です。

全体的に多様なジャンルで注目作が挙げられ、豊作の年という印象でした。複数紙で特筆されているのは、さいたまネクスト・シアター『ジハード』『第三世代』、パルコ『豊饒の海』、宮城聰氏の活躍など。パーキンソン病で闘病中の別役実氏新作『ああ、それなのに、それなのに』(名取事務所)も高い評価です。日経はケラリーノ・サンドロヴィッチ氏の新作群をベストワン的扱いです。

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