この記事は2019年12月に掲載されたものです。
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誰もが劇場に通う文化よ甦れ! 異色のガイドブック『ビジネスパーソンのための文楽のすゝめ』
12月9日、とても気になる本が出ました。竹本織太夫監修『ビジネスパーソンのための文楽のすゝめ』(実業之日本社)です。
文楽については、2018年1月に同じ六代目竹本織太夫監修『文楽のすゝめ』(実業之日本社)が出ており、ビジュアルをふんだんに織り込んだ初心者向けガイドブックでした。書名と同じタイトルの展示会も京都・東京で開催されました。今回これとペアになる装丁で、ビジネスパーソン向けのガイドブックが企画されたのです。
文楽の名作からビジネスに通じる処世術を紹介したり、政財界の文楽好きが登場して魅力を語ります。前回あった大阪の街歩きガイドは、接待に使える店の紹介になりました。文楽は船場の旦那衆が支えてきたものなので、ビジネスパーソンに訴えかけるのは自然なことなのかも知れません。ジャンルは違えど、誰もが劇場に通う文化が甦るといいと思います。
竹本織太夫師は文楽を「神棚からちゃぶ台へ戻したい」と語っています。襲名披露のお練りも復活させ、この機会に文楽へ観客を呼び寄せようとしているのでしょう。
「現在の文楽は、たとえて言えば、“神棚に上がっているぼた餅”のようだと感じています。遠慮して手を出しにくいという人もいらっしゃるのではないかと。ですが、ぼた餅がちゃぶ台にのっていたら、皆、勝手に食べるでしょう? 私は文楽の『敷居を下げる』のではなく、皆さんの手の届きやすいところに戻したいのです」
判型・ページ数が同じなのに価格が大幅に値上がりしているのは解せませんが、世代交代が進む文楽を新しい切り口で伝える試みとして注目されます。アマゾン限定で、竹本織太夫師の直筆サイン本と人形町「錦や」注染の手ぬぐいがセットになった特別版もあります。
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