この記事は2015年2月に掲載されたものです。
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舞台芸術制作者オープンネットワーク文化政策委員会のディスカッション、「会員4」の言葉にしびれる
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)文化政策委員会のリポートを続けてきた高野しのぶ氏(現代演劇ウォッチャー、「しのぶの演劇レビュー」主宰)が、2014年12月19日に開催されたディスカッションの模様を「ON-PAMアクティビティWebサイト」で報告しており、読み応えがあります。
ON-PAMの2年間の活動を踏まえ、アドボカシー(政策提言)の機能を果たせるかどうかを議論しているのですが、個人の集まりであるON-PAMがどのようにコミットすべきなのか、原点に立ち戻った意見交換がされています。
どなたか存じませんが、「会員4」が場をリードしており、思わずメモりたくなる発言を多数しています。実際はもっと話し言葉でしゃべっているのでしょうが、議事録にするとすごいなと思います。
以下、「会員4」の発言から。
「アート」という言葉は拡散しすぎて、今や何も言い表せていない。社会に問いを発するのはあらゆるところで行われているのだから、ON-PAMの特殊性を謳い、守備範囲はぼやかさない方がいい。拡散していく時代だからこそ特化する必要性がある。
アーティストが中心で、それを支える制作者がいるという古い構造は、既に崩れている。制作者像を時代によってアップデートしていくべき。「新しい制作者」の定義を考え、自分からアップデートする。(中略)そして制作者には表現したい社会像がある。価値を作り出すのはアーティストだけではない。ON-PAMが新しい制作者像を示すことで、旧来のイメージを刷新できる。ON-PAMは必然性を持って生まれてきた。歴史の経緯を踏まえつつ、未来へ向かう言葉を出していきたい。
舞台芸術業界全体が「文化政策=文化庁」という構図にしてしまっていることは良くない。色んな政策に複合的な視点が必要。そういう意識を我々の側に持っていないと、すぐに陳情型になる。
制作者は社会とアーティストをつなぐ人。表現は個人にしか立脚しえない。でもいい作品を作ることへの情熱は共通しているはず。制作者が個人で立脚し、それぞれが信じる価値観を持ち、未来の観客ともシェアする。個人立脚すれば、スキルを個人に蓄積できる。まわりまわって舞台芸術業界全体に貢献できる。そんな風土をつくっていきたい。