この記事は2015年3月に掲載されたものです。
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「ワンダーランド」短期集中連載「観客が発見する」に新道喜一郎氏(きいちゃん)登場、東京なら「年に10本見る人が1000人単位でいてくれないといけない」
3月末で活動休止する劇評サイト「ワンダーランド」が、短期集中連載「観客が発見する」を始めました。第1回は東京で年間400本観劇する新道喜一郎氏。「きいちゃん」のハンドルネームで知られ、こまばアゴラ劇場支援会員制度の法人会員に「観劇法人(仮)」という任意団体を主宰して申し込まれた方です。純粋な観客へのインタビューとは、さすが「ワンダーランド」らしいユニークな企画です。
以下、新道氏のコメントより。
やっぱり見に行く人が増えないと駄目なんですよね。公演を年間100本以上見る人が東京だと100人単位でごろごろいるじゃないですか。その人たちがいると劇団の経済としては回るんだろうけど、年に10本見る人が1000人単位でいてくれないといけない。
これは私も全く同感です。年100本観てくれる人はありがたいけれど、やはり特殊な存在だと思います。多忙なビジネスパーソンなら、月1本がやっとでしょう。だからこそ、年10本観てくれる人が増えないと、演劇はいつまで経っても限られた人のための芸術に終わってしまうでしょう。
劇団や劇場側に考えて欲しいのは、時間帯をもっと柔軟に設定したらいいのにということです。1時間そこそこの芝居が夜の8、9時に始まるのもいいだろうし、土日や祝日には芝居見てから食事に行ける時間帯に普通にやってもいい。やってるところはやってるけれど、平日の早い時間帯、お母さんたちが子どもの夕食の前に間に合うみたいな。でも開演時間が14時や19時で固定されている。なんでそうなんでしょうね。
開演時間の多様化も全く同感です。「短すぎる公演日程や早すぎる開演時間の演劇は公共性がない」が私の持論で、平日ソワレは20時開演や短い作品なら21時開演にしてほしいと思います。もちろん終電が気になる人のために、19時開演の日もあっていいでしょう。平日19時で固定されていることが問題なのです。
映画は1800円でしょ。それに対抗できるような設定にしてほしい。今はちょっとあがったけれど、五反田団は1000円台。演劇公演の入場料が高いという理屈は分かりますよ。映画みたいに一斉公開できないし、役者の時間を拘束して、一生懸命作った道具も1週間そこらでお役御免です。そりゃあコスト構造は考えれば分かるんだけど。初めてみる人割引とか、お友達割引などは、人を誘うモチベーションにはなりますよね。
これはどうかな。月1本しか観ないからこそ、少し高くてもよいと思います。それより映画館に対抗しなければならないのは、小劇場の尻が痛くなるイスでしょう。劇場費が高くなってチケット代に上乗せされてもいいから、イスをよくしてほしいと思います。
こまばアゴラ劇場支援会員制度は現在法人会員はありませんが、これは非常にお得でした。高野しのぶさんが、「fringe blog」で「劇団でこまばアゴラ劇場の法人会員になろう!」と呼び掛けたほどです。