この記事は2013年5月に掲載されたものです。
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イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』は「感動とは違う満足感」で新境地

in 備忘録 on 2013年5月30日

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イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』

イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』をシアタートラムで5月29日拝見しました。2008年の『図書館的人生 vol.2 盾と矛』で上演された短編『瞬きさせない宇宙の「幸福」』を長編化、2時間10分の作品となりました。(下)とありますが、全くの単独作品で、(上)を観ている必要はありません。

私が観たイキウメの中では最もメッセージ性が高く、心に残る作品となりました。イキウメはそのSF的作風から、おもしろいけれどリアルさを伴わない印象を受けるのですが、今回はその超越した設定が、逆に現代社会の脆さと可能性を際立たせる効果を生んでいると感じます。イキウメの新境地ではないでしょうか。

レビューでは、「某日観劇録」が見事な紹介をしています。

昔からこういうことを問題と感じていた人はいたのだと思うけど(芝居をやっている人たちなんかは特に)、それが「一般的」な問題として認知されるようになってきたのは、悪化が進んだここ1、2年くらいだと思う。それを言語化というか舞台化して、さらに観客にある種の力強さをもたらす点で、舞台は80年後でも、というか80年後でもあまり変わっていないという描き方の点で、現代日本を描いた芸術の一つじゃないのか。それでいて説教臭さの薄い、芝居単体としての物語も成立している。出て行く、出て行けの扱いがすごいいい。これよりも感動した芝居は何本もあるけど、感動とは違う満足感で、カーテンコールで痛くなるまで手を叩いたのは数年ぶりだ。

某日観劇録「緊急口コミプッシュ:イキウメ「獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)」シアタートラム」

「観客にある種の力強さをもたらす」「感動とは違う満足感」というのは、まさにそのとおり。この日はトリプルのカーテンコールでした。観る価値のある作品です。

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