この記事は2013年5月に掲載されたものです。
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衛紀生氏が5年間の振り返りを掲載し、公共ホールの貸館事業の重要性を改めて強調「劇場をアーティストが占有するのが理想とは思わない」

in 備忘録 on 2013年5月25日

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2013年度から文化庁の特別支援劇場音楽堂に新規採択された可児市文化創造センター館長兼劇場総監督の衛紀生氏が、就任してからの5年間(館長就任は07年度ですが、非常勤だったので常勤となった08年度からカウントしているのだと思います)の振り返りを掲載しています。

就任前後の内情もかなり踏み込んで書いています。

組織的にも、正直言ってガタガタの状態でした。私が就任する数ヶ月前に当時の館長を糾弾する集会が午前2時までやられたり、怪文書が流れたりもした、と1年後に常勤になるときに聞かされ、その怪文書のコピーも実際に読みました。最初からそのような事実を知っていたら到底館長職を引き受けもしなかっただろうし、仮に引き受けたとしても急激な意識改革の切っ先が鈍っただろうと想像します。前述した「マイナスからの再建」とは、そのようなことを指しているのです。最初に事務所に足を踏み入れた時の絶望感にも似た感想とは、山の高さと谷の深さを同時に見ていることだったのだと、1年後になって気付いたのでした。

可児市文化創造センター/館長の部屋「ala Style Management―新しい劇場経営の手法が認められた『特別支援劇場音楽堂』の採択。」

それが現在は大きく変わったようです。

「生きがい」とは「必要とされている実感」であり、「役に立っているという実感」です。それに沿った経営方針にガラリと変えることで、職員の仕事のしがいや生きがいを生みます。この利他的な「コミュニティ発展欲求」に基づいた経営は、組織運営に劇的な好影響をもたらします。私どもの職員の仕事に向かう姿勢がその良い例です。

可児市文化創造センター/館長の部屋「ala Style Management―新しい劇場経営の手法が認められた『特別支援劇場音楽堂』の採択。」

貸館事業については、改めてその重要性を強調しています。

最後に貸館事業について触れます。当時内閣参与だった平田オリザ氏が劇場法について発言する折や、大都市圏、特に東京の劇場関係者、また実演芸術家の統括団体である芸団協は、「貸館」を地方自治法244条「公の施設」を根拠として、利用を拒否できないから仕方なくやっているものとして、ひどく程度の低いものと決めつけています。「貸館」はやるべきではない、劇場ホールは、アーチストが占有する施設であるのが理想というのが、その考え方です。しかし、私はそうは思いません。「カラオケに貸す」ことを、低俗、低級なこととでも言いたいのでしょうが、私は断じてそうは考えません。市民がカラオケで自己実現しているなら、憲法第十三条の「幸福追求権」を行使しているですから、すこぶる結構なことと思っています。東京とは異なって、地域ではカラオケも大切な自己実現の機会なのです。

可児市文化創造センター/館長の部屋「ala Style Management―新しい劇場経営の手法が認められた『特別支援劇場音楽堂』の採択。」

貸館の重要性は民間劇場にも言えることです。貸館のブッキングは劇場の意思を示すものであり、個性的な貸館は民間劇場にとって自主事業に相当するというのが私の持論です。

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