この記事は2013年5月に掲載されたものです。
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契約職員の3年雇止めが慣例化している公共ホールは、あと10数年で人材的に崩壊し、劇場法の実現どころではなくなると衛紀生氏が指摘

in 備忘録 on 2013年5月3日

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日本の公共ホール職員の非正規雇用率が指定管理者制度導入以来急速に高まり、3年雇止めが慣例になっていると、可児市文化創造センター館長兼劇場総監督の衛紀生氏が指摘しています。さらに2013年4月に施行された改正労働契約法により、現在の有期雇用者を雇止めにする「2018年問題」が発生し、公共ホールの機能は「劇的に減衰する」と危惧しています。

若い職員の3年雇止めは今後も変わらず、職員の年齢構成が極端にいびつとなり、公共ホールの多くがあと10数年で人材的に「メルトダウン」するとしています。高度な専門知識を持つ有能な人材が、短期間で雇止めにされている現実を直視した文章です。

しかし、現行では、そしてこれからも、前述したように、若い職員の採用は「1年契約の3ヶ年で雇止め」が一般的であるままでしょう。つまり、大臣指針にあるような各世代均等な人事配置ではなく、逆ピラミッド型になっているのが現実なのです。いや、逆ピラミッド型どころではありません。漏斗を逆さにしたような組織になっています。所属する常勤のプロパー職員は開館当時に採用した人間にとどまって、いまその彼らが40代の半ばを過ぎて、あとは行政からの現職派遣職員と短期の有期雇用職員という構造です。今後とも、技術集積と社会関係資本集積が起こるのは40代半ば以上の職員だけということになります。つまり、公立の劇場ホールの多くは、10数年でメルトダウンする「時限爆弾」を抱え込んでいる、ということになります。集積のない組織が崩壊するということは、インストチュート(機関)ではなくなり単なるファシリティ(施設・建物)に堕してしまうことを意味します。つまり、「完全なるハコモノ」に堕するということです。前述した「大きな問題」とはこのことを指しているのです。

(中略)

これでは「優れた劇場音楽堂」をさらに進化させることには到底ならないでしょう。むしろ、「時限爆弾」を抱えて、座して死を待つだけの様相を呈しています。石川県立音楽堂の館長の言が印象的でした。「あと10年経ったら、東京から1000万円以上の年俸でプロデューサーを呼んでこなければならなくなる」、と彼は言っていました。県への静かな抗議に私には思えました。地域で人材を育てられない、またしても中央に凭れ込むことに対する自虐的な発言と感じました。「自治体はそれで良いのか」、「人件費を少なく見せる短期的な対応で良いのか」、「中長期的な展望は持たなくて良いのか」、「国民・市民が不在の文化行政にならないか」、「誰のための文化政策なのか」。私は激しく憤ります。

可児市文化創造センター/館長の部屋「『時限爆弾』を抱え込んでいる公立劇場・ホール―非正規雇用率の高い職場からは優れた劇場音楽堂は生まれない。」

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