この記事は2016年6月に掲載されたものです。
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稽古場で劇作家・演出家が「戯曲」を読み聞かせするのが「本読み」、俳優が配役に合わせて「台本」を読むのが「読み合わせ」
稽古場で最初に台本を配布し、俳優が配役に合わせて台詞を読んでいくことを「読み合わせ」といいます。小劇場演劇の場合、これを「本読み」と呼ぶ現場が多いようですが、これは誤用です。「本読み」は戯曲の劇作家または演出家が、シーンの意図を説明しながら一人で読み聞かせる行為を指します。
小劇場演劇の場合、稽古初日に台本が完成していることは稀だと思いますし、劇作家と演出家は同じ人物が兼ねているので、結果的に「本読み」という行為が廃れて、「読み合わせ」だけになったのだと思います。
私自身も小劇場演劇の慣習に合わせ、「読み合わせ」のことを「本読み」と呼んでいて、先輩の演劇人から指摘されたことがあります。最近は「本読み」の伝統があるはずの新劇でさえ、「読み合わせ」のことを「本読み」と呼ぶ人がいるようですが、用語の意味は全く異なるので、正しく使い分けたいものだと思います。
ちなみに北村想氏によると、劇作家の書いた「戯曲」「台詞」が、他の俳優との生身の受け答えで「台本」「科白」になるのだそうです。