この記事は2017年7月に掲載されたものです。
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多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科作品展を観る、初の卒業公演は柴幸男講師による注目作『大工』を東京芸術劇場シアターイーストで
多摩美術大学上野毛キャンパスの造形表現学部映像演劇学科は今年3月で幕を閉じましたが、代わりに2014年に新設されたのが昼間の美術学部演劇舞踊デザイン学科です。俳優、ダンサー、舞台美術家、照明デザイナー等を育成する学科です。
今月で廃止となる多摩美術大学造形表現学部。近所にある日本唯一の美術系夜間学部で、映像演劇学科があるので親しみを抱いていた。真夜中に通っても煌々と灯るキャンパスの照明に、希望や勇気を何度ももらった。二部の学生には教えられるものがある。上野毛に夢見る社会人が通っていたことは忘れない。
— fringe (@fringejp) 2017年3月4日
7月21日~23日に「iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ」(東京・二子玉川)で、「舞台づくりは夢がいっぱい」と題した作品展をやっていたので覗いてみました。
舞台衣裳、舞台美術、映像美術の3ジャンルの作品が展示され、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)『パラード』をモチーフにした衣裳展示がメインでしたが、オリジナルの衣裳はパブロ・ピカソというすごい作品で、学生の発想がそれにどう対抗するかが見ものでした。
舞台美術・映像美術も著名作品の装置・セットを実際に考えるもので、シェイクスピアやニール・サイモンの美術模型も並んでいました。コストを度外視すれば、このまま採用してもよいレベルのものが多かったと思います。
多摩美の演劇舞踊デザイン学科は、昨年から洗足学園音楽大学声楽科オペラ実習とコラボレーション上演をしており、今年9月16日~17日に3年生が上野毛キャンパスで上演するオペラ『ヘンゼルとグレーテル』の舞台美術も展示されていました。
まだ卒業生を出していない学科で、こうして歴史をつくっていけることは、うらやましく眩しい気がします。
今後注目の演劇公演としては、柴幸男講師(ままごと主宰)が作・演出する卒業公演『大工』があります。今年1月に3年生の上演実習として上野毛キャンパスで上演し、小劇場フリークのあいだで話題となった作品で、ベートーベン「第九」に合わせた家族劇とのこと。代表作『わが星』を超えているとの声もありました。私が気づいたときは完売で、近所に住んでいながら情けない限りでした。卒業公演ではこれを12月23日~25日に東京芸術劇場シアターイーストで再演するそうです(有料を予定)。
3年生の上演実習としては、糸井幸之介講師(FUKAIPRODUCE羽衣)が12月9日~10日に上野毛キャンパスで『多摩美 能楽集(仮)』を上演します。
上演実習・卒業公演の詳細は特設サイトで。