日本演出者協会機関誌『ディー』が民間小劇場特集、本多愼一郎氏(本多劇場グループ総支配人)×玉山悟氏(元王子小劇場芸術監督)の実務者対談を実現。全国の新劇場として犀の角、アトリエ銘苅ベースも紹介

in 備忘録 on 2017年12月9日

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11月1日発行(配布は11月末から)の一般社団法人日本演出者協会機関誌『ディー』19号は、民間小劇場特集です。

特別対談「ぼやく劇場主コヤヌシ」は、本多劇場グループ総支配人の本多愼一郎氏と元・王子小劇場代表兼芸術監督だった玉山悟氏。本多愼一郎氏は本多劇場グループ代表である本多一夫氏の子息で、実務を仕切っています。

玉山氏の発言内容は、「たまやま さとる(玉山悟)氏の名言」にまとめているものと基本的に同じです。これらのツイートが、対談なのでもう少し柔らかい言葉で詳しく語られています。本多氏がそれに本多劇場グループの事例を挟んでいく形です。

当然ながら、お二人とも豊島区がやたら劇場を増やそうとしていることには批判的ですし、貸館の現状がこのままでいいのかは懐疑的で、前半は閉塞感の漂う対談になっていますが、それでは夢がないと感じたのか、後半は自由奔放に劇場の在るべき姿が語られています。読者の年代によって刺さる部分は異なると思いますが、前半で現状を認識し、後半で民間劇場についても〈自分事〉として考えてほしいと感じました。

この対談を企画した日本演出者協会広報部の三谷麻里子氏、秋葉由美子氏のセンスも高く評価したいと思います。個別でのインタビュー企画は他媒体でもありましたが、東京の民間劇場を代表する実務者同士に対談させることで、創造環境を見直すきっかけにもなる示唆に富んだ記事になったと思います。

「各地域活動通信」のページでは「地方の民間小劇場」と題し、シアターZOO(札幌市)、犀の角(長野県上田市)、シアターねこ(松山市)、枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市)、アトリエ銘苅ベース(那覇市)を紹介。犀の角は2016年9月、アトリエ銘苅ベースは17年7月にオープンした注目の小劇場です。

犀の角は銀行だったビルをリノベーションした小劇場+簡易宿泊施設+カフェの複合施設で、17年6月にオープンした若葉町ウォーフ(横浜市)と同じコンセプトです。商店街にある銀行支店の丈夫なビルを、劇場という公演時間にしか開かれない空間ではなく、常時交流のある場所にし、収入源も確保する試みだと思います。

アトリエ銘苅ベースは、沖縄になかったキャパ100名程度の小劇場復活を目指し、沖縄のサブカルチャー発信基地だった「沖縄ジァンジァン」(2000年閉館)を理想に掲げています。12月1日~2日には、「全国小劇場ネットワーク会議 in 那覇」の主会場にもなりました。「沖縄タイムス+プラス」によると、ここも宿泊施設を整備する予定とのこと。

沖縄タイムス+プラス「思い描く形はかつての『沖縄ジァンジァン』 那覇市に小劇場『アトリエ銘苅ベース』きょう始動」

『ディー』は同協会サイトで間もなくPDF公開されると思いますので、ぜひご覧ください。本多劇場ロビーにも置いているそうです。

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