この記事は2017年8月に掲載されたものです。
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札幌で誕生した観客のための投稿サイト「札幌観劇人の語り場」が盛況、批判も含めて多様なレビューのアーカイブへ

カテゴリー: 備忘録 オン 2017年8月20日

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今年5月1日、「札幌観劇人の語り場」というサイトがオープンしました。「演劇人」ではなく「観劇人」のためのサイトです。合議制による運営で、「観客発信メディアWL」の札幌版といった印象です。

諸事調整役は「瞑想子」という方ですが、プロフィールを見るとWebマガジン「カイ」でコラム「客席の迷想録」を連載しているとありますので、フリーライター・編集者の岩﨑真紀氏ですね。

現在は「観劇レポート(感想)」「観劇予報」「観劇雑感」「特別寄稿」「企画」の5カテゴリーがあり、昨日までで162本の記事(まとめページ含む)が投稿されています。2日で3本が掲載されるペースで、現在は「札幌演劇シーズン2017-夏」真っ最中で投稿が盛んになっています。

「設立経緯」にあるように、札幌は長年に渡って継続的にレビューを発信してきた書き手が不在になっている状態でした。つくり手からの情報発信としては、昨年12月に高校3年生がスタートした「d-SAP」のような新しい動きがありますが、演劇が盛んな札幌において、レビューの必要性については観客自身が痛感していたのではないでしょうか。

印象深いのは、「設立経緯」にあるこの文章です。

現在の社会状況においては、一人の人間が、数多上演される札幌の演劇作品のメインストリームだけでも継続的に見続けることは、時間的にも経済的にも困難です。ましてや、観たと思ったものを素直に書いて発信するとなると、精神的にも大きな負担となります。

けれど、一人では担えなくとも、それなりの数を観劇してブログやSNSで感想を発信している人たちが一つのプラットフォームに集まれば、暫定的であってもなんらかの役割を担えるのではないか。また同時に、一つの作品には多様な見方があることも示せるのではないか。

札幌観劇人の語り場「設立経緯」

演劇が盛んなゆえに、逆に批判を書きづらい面があることが読み取れます。多様な考えを示すためにも、こうした場が必要だったのでしょう。

面白いと思った記事は、「観劇雑感」で作家・シナリオライターの島崎町(島崎友樹)氏が寄稿している、「札幌演劇シーズン2017夏」上演作品それぞれで想起する本5冊。こうした他ジャンルとの接点となる記事があると、新しい創客につながるのではないかと思います。

実験的なサイトで、今度どのように発展していくかも未定とのことですが、札幌公演がある団体にとっては、必読のサイトになると思われます。

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