この記事は2021年5月に掲載されたものです。
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制作関係の名前も多く挙がった日本劇団協議会機関誌『join』アンケート特集「私が選ぶベストワン2020」、演劇チラシ・パンフレット専門の深雪印刷も
3月末に出た日本劇団協議会機関誌『join』99号は、恒例のアンケート特集「私が選ぶベストワン2020」を掲載しています。今回は73名が回答し、各項目で名前で挙がった計312作品中、配信は32作品でした。全体の約1割を占めたことになります。
得票数で2桁以上の支持を集めたのは、作品で新国立劇場『リチャード二世』(13票)、主演俳優で鈴木杏氏(世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』、東京芸術劇場『真夏の夜の夢』)(15票)、スタッフで乘峯雅寛氏(8作品の舞台美術を担当)(16票)でした。
このアンケートのスタッフで制作者を挙げる方は例年少ないのですが、今回は制作関係として4個人・団体の名前が挙がりました(敬称略)。ほかに、制作も含めた集団でのスタッフワークとしてダムタイプも。
- 赤羽ひろみ(制作)
⇒『オイディプス王』せんだい卸町アートマルシェ実行委員会 - 橋本匡市(企画)
⇒「仮想劇場ウイングフィールド」の企画 - 松井康人(プロデューサー)
⇒『愛する母、マリの肖像』 - 深雪印刷(チラシ印刷)
⇒演劇界の多くの舞台。
深雪印刷は、演劇関係のチラシ・パンフレット専門の印刷会社です。コロナ禍による公演中止は、こうした関連業界にも大きな影響を及ぼしていると思います。これを挙げた今井浩一氏(NaganoArt+)は、そうした企業にも目を向けてほしいと思われたのでしょう。
コロナ禍で企画や制作手法も関心を集めたのか、団体やノンジャンルでも配信等に取り組むカンパニーや劇場の名が挙がり、行政との交渉に当たった緊急事態舞台芸術ネットワーク、演劇緊急支援プロジェクトを挙げた方もいました。
この「私が選ぶベストワン」と、AICT(国際演劇評論家協会)日本センター『シアターアーツ』(晩成書房)に掲載される「年間回顧」は、演劇評論家、ライターなどの個人的評価が公表されるものです。演劇賞では最終結果しかわからない評価が、個人レベルではこれだけ多様だということを演劇人に知ってほしいし、自分と近い視点を持っている評者を見つけて、そこに売り込んでみる、招待状を送るということをしたらいいと思います。