この記事は2014年6月に掲載されたものです。
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いま無理をしてでも、関西若手演劇人に伝えなければならない「遊び方」がある
ABCホールプロデュース公演として、1999年以来15年ぶりに大田王公演があるそうですが、特設サイトに書かれている後藤ひろひと氏のメッセージが素晴らしい。
関西の演劇界からタレントが消えた。スターが消えた。
この15年の間に関西演劇界は賢そうな作家や無口な俳優がどっさり増えた。
海パン一枚で寒空の下のロケに挑むのは芸人の仕事になり、喫茶やバーに少人数を集めて物を見せるのが演劇人の仕事になった。
私はそれが逆だった時代を知っている。
その逆転を“時代の流れ”と片付けるのは簡単だ。
けど本当の原因は我々にある。
かつては“タレント俳優”とか“スター演劇人”とか呼ばれた我々が後輩達にその“遊び方”を見せなくなったせいだ。
後輩達に、そして今の演劇ファン達に伝え忘れた事がある。
チラシのキャッチコピーは、「俺たちスター演劇人の遊び方を見るがいい!」。
演劇は英語で「play」で、それは「遊ぶ」ということだ――というのが、後藤氏の口癖でした。関西の演劇界が元気がないと言われているのは、私も残念に思っています。90年代の関西小劇場界を知る人々の思いが、この公演を実現させたのでしょう。
ABCホールの山村啓介プロデューサーも、こう記しています。
今回のABCホールプロデュース公演は決して懐古趣味ではありません。
アーティストはいつでも誰でも前しか向いていないのです。
「昔のアレがよかったからまたやろう」と言うことは、ある意味創造を生業とする人々に対する侮辱だと自覚しています。
でも、何だか、無理をお願いしてでも今これをやる必要があると感じたのです。
ここには書ききれないような色んな意味合いがあります。
アドリブや客いじりが苦手なはずの土田英生氏も、だから出演を決意したのでしょう。
私は皆のことは大好きだったし、一緒にいるのは楽しかったのだが、舞台に対する考え方が違うなあという気持ちもあり、二回目は出演しなかった。
コント集のようなもので、中にはかっちりと作り込んだものもあったが、お客さんをいじったりする企画もあり、その頃の私はそういうものが苦手だった。
それは今でも変わっていない。
アドリブなどを一切排除したものが私は好きなのだ。今回、久しぶりにやるということで出ないかと誘われた。
正直、かなり迷った。
でも、出演することにした。
それは……。
関西の演劇が元気ないと言われているようだ。
劇団などでも、一時期は関西で人気が出ると、そのまま東京に進出し定着していたように思う。
しかし、最近はそういう流れはない。
そんなことを言うもおこがましいが、少しでも関西を活性化したい。
それに十何年振りにやる企画に対して、参加しないのも野暮だという思いもあった。
で、出演させてもらうことにした。
ちなみに、同じ週に東京ではサモ・アリナンズが6年ぶりの復活公演で、これは奇遇ですね。前回(2008年)は松尾スズキ作品だったので、オリジナルとしては前々回(06年)以来。