この記事は2016年2月に掲載されたものです。
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「劇場は、潰れます。」王子小劇場・北川大輔芸術監督が経営状況を赤裸々に公表、存続のために劇場支援を訴える――真壁茂夫氏「麻布die pratzeの閉館について」と並ぶ名文!
王子小劇場(東京・王子)が「劇場は、潰れます。」というキャッチコピーと共に、2016年度の劇場支援会員を募集中です。
芸術監督の北川大輔氏が厳しい現状を訴えています。職員の給与は全体で2割カットしたそうです。入替予定だった備品の購入を延期したそうです。それでも、劇場費は値上げ出来ないとしています。
小劇場が生まれて、ここから日本の舞台芸術を背負うアーティストを排出してきたことは、芽吹く機会を用意した民間劇場が担ってきたという、前任者からの強烈な自負心があります。今劇場で働くスタッフも、皆一様にその機会に恵まれました。だからこそ、そんな劇場が死に向かっていくのをただ指を咥えて眺めてはいられない、という思いがあります。
これは、07年にdie pratzeオーナーの真壁茂夫氏が発表した「麻布die pratzeの閉館について」と並ぶ名文ではないかと思います。
私の持論を繰り返しますが、日本の演劇文化を育ててきたのは民間劇場の「意思のある貸館」です。欧米型の創造劇場が少しずつ増えてはいますが、劇場が直接カンパニーを持つことはほとんどなく、若いカンパニーを育てるインキュベーション機能は依然として民間の小劇場が担っています。日本では、欧米の劇場システムへの憧れがよく聞かれますが、それを補完してきた民間劇場に対する評価がもっとあってもいいのではないでしょうか。
16年度は明示的に劇場事業を支援する「劇場事業支援会員」も新設されました。微力ながら、fringeも申し込ませていただきました。王子小劇場を支援したいと思います。