この記事は2015年11月に掲載されたものです。
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一人でも信念を貫くことを教えてくれた演劇評論家・村井健氏
10月5日に急逝された演劇評論家・村井健氏は、而立書房の編集者、ロシア演劇界との交流で知られていますが、なによりもそのブレない姿勢、反骨の精神が印象的な演劇評論家でした。裏表がなく、ダメなものは徹底的にダメというところが、私は大好きでした。あまたいる演劇評論家の中で、この人の書くものなら信じられると思えた数少ない一人でした。
世の中が絶賛の嵐となった作品で、演劇誌が特集を組む中、村井氏一人だけが批判的な劇評を掲載しているのを目撃し、なんと覚悟のある人だろうと思いました。メディアに掲載される劇評が非常に重みを持っていた1980年代のことです。周囲がどう評価しようとも、自分の評価を信念を持って貫く――それを教えてくれたのが村井氏でした。
流山児祥氏の追悼文に、その功績が綴られています。若い演劇人の中には、村井氏のことを知らない人がいるかも知れませんが、ぜひ知ってほしいと思います。
心よりご冥福をお祈りいたします。