この記事は2015年12月に掲載されたものです。
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演劇は映画に比べてチケット代が高いと言っていた若手カンパニーは、体感型の4DX/MX4Dの映画が3,000円以上取るようになったのをどう思っているのだろう。演劇なら最初から体感なのに
いつの時代も、映画より高い料金を取りたくないといって、映画並みのチケット代にこだわる若手カンパニーがいます。気軽に観られるという点はわかりますが、メディアに記録したものを再生する映画と、同じ空間でライブで実演する演劇とは価値観が全く異なるわけで、料金だけで比較するというのは、舞台芸術の持つ付加価値を自ら否定しているようで、私は支持出来ませんでした。
ところが、いまや映画のほうが映像以外の付加価値を付けてきて、アトラクション効果を伴う体感型の4DX/MX4Dで、3,000円以上程度取るようになりました。下記は本日現在の料金(税込)ですが、最も高いMX4D 3Dだと専用メガネのレンタル代を含め3,400円します(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は特別価格で3,600円です)。
ユナイテッド・シネマ豊洲 2D 1,800円 3D 2,100円(+専用メガネ100円) 4DX 2D 2,800円 4DX 3D 3,100円(+専用メガネ100円) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ 2D 1,800円 ※DOLBY ATMOSは+200円 3D 2,100円(+専用メガネ100円) ※DOLBY ATMOSは+200円 MX4D 2D 3,000円 MX4D 3D 3,300円(+専用メガネ100円)
4DX/MX4Dは作品に合わせて座席が動いたり、水・風・香りなどの特殊効果がありますが、体感という意味なら、劇場で得られる演劇の印象はそれに近いと思います。作品によっては俳優が客席に乱入し、水しぶきがかかってくることもあります。舞台との距離が近い小劇場なら、その迫力はさらに高まります。体感することが付加価値だと言うのなら、演劇は最初から体感そのものなので、そもそも2Dの映画と料金比較すること自体がナンセンスだったと私は思います。
Ciatr「4DXとMX4Dの違いは?次世代シアター4Dの特徴まとめ」
コスト面では、舞台芸術はメディアに記録する芸術に絶対に勝てません。映画との価格勝負をするのではなく、演劇の付加価値をいかに伝えるかが重要です。むしろ、映画のほうがそのことに気づいて値上げをしているのです。
映画のチケット代と演劇を比較するような無意味なことは、もうやめましょう。演劇は、ちゃんとコストを転嫁したチケット代を設定したらいいと思います。それで売れなくなるのなら、その作品にそれだけの付加価値がない、あるいは付加価値があることを理解されていないということです。