日本劇団協議会機関誌『join』、検証座談会「コロナ禍での芸術支援にモノ申す」を読む
11月末発行の日本劇団協議会機関誌『join』101号が届きました。10月8日に対面で実施された「検証座談会『コロナ禍での芸術支援にモノ申す』」が収録されています。出席者はあごうさとし(THEATRE E9 KYOTO)、紫雲幸一(青年座)、中津留章仁(TRASHMASTERS)、平松隆之(劇団うりんこ)の各氏。10ページに及ぶ内容から、後半の損失補填に関する意見の概要です。
●コロナ禍による公演中止は、その損失を補填するのが原則だと思うが、詐欺まがいの事例も起こり得るので、いまは絶対に補填する方向にはならない。現場が文化庁と意見交換しながら、よりよい制度を築いていくしかない。(中津留氏)
●補助金がたくさん出て、格差も露骨になってきた。勝ち組と負け組が出ている。「補助金バブル」と言っている人にも会った。支援の効果を検証する必要があると思う。芸術関係者が「補助金がとれなかったらやりません」と言うようになり、役所の人になってきている。それ以外の財源を考える必要があるのかなと思う。(あごう氏)
●100%補償しろとは言わないが、いきなり収容率50%にするなら、その60~70%ぐらいを補償してくれると納得出来る。不正な申請でないことを証明するのも結構難しいと思うので、同時にいまのシステムがもっと簡素化出来ればいいとも思う。(紫雲氏)
●緊急時なのに平時と同じ手続きになっている。平時に使い勝手のよい制度があれば、9割がたそのまま使えると思う。元々学校公演に2割ぐらい補助があれば、公的な支援の部分はそのまま支援策として出来る。(平松氏)
●公共ホールがキャンセル料免除や返金すると、民間劇場もそれにならわざるを得ない。民間劇場への補償が見えない中での判断は厳しい。工夫する余地をすべて奪われ、無料または安価に利用出来る公共ホールと競争するのは、あまりに不合理。(あごう氏)
●補助金だけだと取り合いになってしまう。京都市は財政がピンチなので、クラウドファンディングで文化行政の予算をつくろうとしている(Arts Aid KYOTO)。そもそもパブリックとはなにかを、もう一回考え直していく必要があると感じる。本質的には市民の存在があって、その市民がどう考えるかだと思う。(あごう氏)
前半は出席者がコロナ禍をどうしのいできたか、それぞれの立場で語られています。興味のある方はこちらからお求めください(送料込み500円)。