この記事は2016年9月に掲載されたものです。
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4回目で過去最高の広がるを見せる香川「マエカブ演劇フェスティバル」、「日本一ギュッ!!とした演劇祭!」に偽りなし。10月「演劇大学inさかいで」鹿目由紀氏の劇団運営講座にも注目
この週末、株式劇団マエカブ(本拠地・高松市+香川県坂出市)主催の「マエカブ演劇フェスティバル」が開催されています。2012年に「香川文化芸術フェスティバル」の名称でスタートし、14年から毎年開催されています。4回目となる今回から「マエカブ演劇フェスティバル」に名称変更しました。
参加団体は四国、岡山、広島に加え、全国をツアーしている札幌ハムプロジェクト(本拠地・札幌市)や坂口修一氏(本拠地・大阪市)が常連ですが、今年は瀬戸内国際芸術祭の開催年で、本フェスもパートナーシップ事業となり、過去最高の広がりを見せています。
新たに演劇ユニットそめごころ(本拠地・福岡市)、雲の劇団雨蛙(本拠地・島根県出雲市)、西藤将人氏(本拠地・島根県雲南市)、ドキドキぼーいず(本拠地・京都市)、平塚直隆氏、劇団あおきりみかん(以上、本拠地・名古屋市)が参加し、特別企画を含めて22団体27企画を2日間で上演・実施します。地域のカンパニーが単独主催する演劇祭としては圧巻で、キャッチフレーズの「日本一ギュッ!!とした演劇祭!」に偽りなしと思います。
島根の2団体は全国的な知名度はまだ低いですが、積極的な公演活動が目立ちます。西藤氏が代表の劇団ハタチ族は、昨年チェリヴァホール(雲南市木次経済文化会館)のロビーで365日公演をやり、全国ニュースにもなりました。これだけだと話題づくりのためと思うかも知れませんが、カムカムミニキーナ『鈴木の大地』にインスパイアされたものであること、普段の多彩な活動を知ると、他地域のカンパニーも大きな影響を受けると思います。島根でなにが出来るかを問う姿勢は、他地域も学ぶべきものがあります。
会場の披雲閣は、水城として知られるJR高松駅前の高松城がある玉藻公園内にあり、国の重要文化財に指定された御殿ですが、全館を営業目的で貸館しています。大広間×2、和室×5、調理場などを含め、全館終日使用料は電気代込みで50,220円(税込、持込機材電気代別)。夢のような価格で、このようなイベントに最適だと思います。
マエカブ代表の岡田敬弘氏は日本演出者協会の「演劇大学inさかいで」実行委員長も務め、昨秋に初開催、今春は瀬戸内国際芸術祭の春会期に合わせてプチ版を開催、10月8日~10日には2回目を開催します。平塚氏は昨年から講師、鹿目由紀氏(劇団あおきりみかん主宰)も今秋講師を務めますので、本フェスと連動していることがわかります。
10月の「演劇大学inさかいで」の注目は、鹿目氏が演劇ワークショップではなく、「劇団の運営についてきいてみよう」という講座を担当すること。演劇大学でこうしたマネジメント系の講座はめずらしく、銀河ホール(岩手県西和賀町)の事例を紹介した14年秋の「演劇大学inあきた小坂」以来だと思います。
3時間たっぷりの講座で、これは中四国の主宰・制作者は行くべきだと思います。ぜひ、鹿目氏を質問責めにしてください。
私は中学・高校時代を香川で過ごし、いまも実家が坂出市にあります。当時も活動されていた方はいたと思いますが、私から見ると演劇不毛の土地に思えました。それが直島を中心にアートの県となり、四国学院大学が演劇コースを設け、他地域からの魅力的な上演地になり、県内の活動も盛んになっていることを思うと、隔世の感があります。