この記事は2019年5月に掲載されたものです。
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『シアターアーツ』恒例「年間回顧2018」、優秀新人アーティスト1位は横山拓也氏(iaku)。英語字幕など外国人を視野に入れた公演が10年前から激減しているとの指摘も
5月1日に発行されたAICT(国際演劇評論家協会)日本センター『シアターアーツ』(晩成書房)63号は、恒例の「年間回顧2018」を掲載しています。会員から43名が参加し、点数制で集計した1位は次のとおりです。
- ベスト舞台
二兎社『ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ』 - ベストアーティスト
瀬戸山美咲(劇作家・演出家/ミナモザ) - 実験的・先駆的作品
地点『忘れる日本人』(作=松原俊太郎、演出=三浦基) - 実験的・先駆的作品アーティスト
三浦基(演出家/地点) - 優秀新人アーティスト
横山拓也(劇作家・演出家/iaku)
私自身のアンケート結果はこちらです。本橋龍氏(劇作家・演出家/ウンゲツィーファ)を挙げているのが私だけなのが意外でした。
横山拓也氏をいまごろ新人扱いかと思いますが、ベストアーティストでも2位に入っていますので、認知度によって票が分かれたと言えます。
気になるコメントとして、萩原健氏(明治大学国際日本学部教授)が次のように書いています。
「自国第一」や「内向き」の傾向の広がりと並行しているとは考えたくないが、視覚的要素を前面に出したり、英語字幕やイヤホンガイド等の工夫をしたりした、日本語母語話者以外の観客も視野に入れた公演が一〇年ほど前と比べると実に少なくなった。各国からの学生に現代日本演劇史を英語で講じる授業を行う身としては、引率観劇ができなくなり、寂しく思っている。
AICT(国際演劇評論家協会)日本センター『シアターアーツ』63号「AICT会員アンケート」p.44(晩成書房、2019年)
インバウンド向けにこうした施策は増えていると思っていましたが、進んでいるのはバリアフリーで、確かに外国人向けの英語字幕などを劇場で見かける機会は減ったかも知れません。ハッとさせられた指摘でした。