この記事は2013年3月に掲載されたものです。
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いまなら夢のグッズだったオリジナルトランプに手が届く

カテゴリー: 再録 オン 2013年3月20日

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エンタテインメント系カンパニーの制作者時代、私は様々なオリジナルグッズを物販していましたが、原価の関係でどうしても実現出来なかったのがトランプでした。裏面(共通面)はカンパニーのロゴやイラスト、表面(数字面)は俳優をキング、クイーン、ジャック、ジョーカーなどの絵札に配してデザインしたら、どんなに楽しいでしょう。これで価格を抑えられたら、絶対に人気商品になると確信したものでした。

トランプは専用サイズの特殊紙に両面の印刷位置を正確に合わせ、54枚のカード(ジョーカー2枚含む)を丁合する技術が必要です。カードの四隅はアールをかけて丸めてもらわないといけません。チラシやDMをお願いしている普通の印刷会社では困難、かといって任天堂のような専門メーカーにオリジナルトランプを頼むと、裏面(共通面)をオリジナルにするだけで、当時は最低ロット200組で単価1,600円(紙製・プラスチックケース入り、送料別)かかり、納期も約50日必要でした。

2000年代になって、オンデマンド印刷による廉価なオリジナルトランプを手掛ける業者も出てきましたが、両面オリジナルはまだ高額でした。私の考える両面オリジナルとは、

  • 裏面(共通面)⇒オリジナルデザイン
  • 表面(数字面)⇒絵札、エース、ジョーカー(計18枚)がオリジナルデザイン

を意味しますが、廉価版はスペードのエースとジョーカーしかオリジナルデザインに出来ず、200組で単価980円(紙製・紙箱入り、送料込)が、02年当時の最安値でした。売るためには、やはり絵札すべてを俳優にする必要があり、これでは手が出せませんでした。

この夢のグッズが、現在は手の届く原価になっています。ネット上で詳細な料金表を掲載している業者は限られますが、トランプ製造の老舗・昇文堂では「廉価版オリジナルトランプ」というメニューがあり、裏面(共通面)が特色1色なら最低ロット300組で単価700円です(紙製・ペットケース入り、送料別)。表面(数字面)は私の理想どおり、18枚すべてをオリジナルデザインに出来ます。ただし、廉価版の条件として校正はありません。

トランプは公演パンフレットと異なり、売れ残っても次回公演で普通に販売可能です。カンパニーのノベルティにも最適です。絵札を俳優のブロマイド代わりにデザインすれば、エンタテインメント系なら売価1,500円で300組の販売は難しくないと思います。当時この原価なら、私は絶対につくっていたと思います。

※本記事は、fringe[雑学]「オリジナルトランプをつくる方法」(2002年10月13日初出)に加筆・修正したものです。

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