この記事は2016年12月に掲載されたものです。
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2016年、私が劇場で受け取った配布物でいちばん素敵だと思ったのは、くちびるの会『ケムリ少年、挿し絵の怪人』のロケット鉛筆
私は、アンケート用紙にペグシルを付けるのはあまり意味がないと考えています。本当にアンケートを書きたい人なら、スタッフに筆記具を借りてでも書くだろうし、書きたくない人はペグシルがあったぐらいでは書かないと思うからです。
そんな私でも、今年は思わず唸る筆記具の添付がありました。くちびるの会『ケムリ少年、挿し絵の怪人』(6/3~6/7、東京・吉祥寺シアター)が付けたロケット鉛筆で、レトロな昭和の商店街を舞台にした作品にふさわしい、相乗効果を生み出す素晴らしい小道具でした。
しかも元祖Bensia製で、いまや日本では入手困難なはず。観客全員分を仕入れたということは、台湾から直接買い付けたのでしょうか。1本5円で付けられるペグシルに比べると、費用もずいぶんかかったことでしょう。当日パンフに「ロケット鉛筆調達」というクレジットを入れてもいいくらいの仕事だと思います。
この公演では、ほかにも「妖怪けむり」というサンスタースパイ手帳を彷彿させるカードも配られ、並々ならぬ世界観への思いが感じられました。こうした観客への小物に凝る公演はこれまでもありましたが、そのこだわりは群を抜いていたと思います。作品本編とは別の話だし、そんな小物は要らないからチケット代を下げろという人もいるかも知れませんが、この点はきちんと評価しておきたいと思います。
2016年、私が劇場で受け取った配布物でいちばん素敵だと思ったのは、くちびるの会『ケムリ少年、挿し絵の怪人』のロケット鉛筆です。
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